第45話 久しぶりの再会

 その日を終えた両助は、今だ明るい帰宅路についていた。


「ところで足立さん、最近変なことなかった?」

「変なこと……いや、人なら横にいるわよ。影峰くん」


 両助の隣で歩む女性生徒。

 冷徹な嫌味を吐いたのは、我らがクラス委員の足立未来。

 帰宅しようとしていた両助は、脱靴場でたまたま彼女と会い、こうして共に帰宅している。共にと言っても、ただ両助が勝手についていっているだけだが、向かう先が付近の駅なので、自然と同じ道を通ることなる。


「いやいや、そうじゃなくて。なんか知らない人にあとをつけられているとか……」

「なんだ、あなたじゃない」

「クラスメイトでしょ?知ってるでしょ?」


 続けて遠回しに聞こうと思った両助だったが、どうあっても自分に結び付けられるだろう考えた両助は、話題を変えた。


「珍しいね。足立さんがひとりでいるなんて。進藤は?」

「正人なら生徒会の仕事」

「それなら尚更なんでここにいるのさ?」


 進藤正人は生徒会で書記を務めているが、会計は目の前の足立さんだ。

 同じ生徒会の役員同士なら、片方がここにいるのは不自然だ。


「わたしは仕事がなかったし、なにより用事があるの。正人には少し悪かったけど、仕方ないの」


 不服そうに言っていることから、本意ではないらしい。


「旦那様への気苦労、大変ですね若奥様」

「……ふん!本当なら引っぱたいてやるところだけど、なかなかいい目をしてるじゃない。特別に許してあげる」


 まんざらでもない様子の足立さんは、そのまま足早に駅に向かう。

 その隣を置いて行かれないように、追尾する両助。


「進藤は本当にイケメンだよな」

「あなたと比べるべくもないわね」

「性格もいいし、相当モテるよな」

「そうでしょ、あなたと違ってふざけたこともしない。誠実な人よ」

「ライバルも多そうだ。あなた勝てます?」

「あなたと同じにしないで、彼はわたしのものよ」


 もうこいつ見捨てようかな。


 腹立つ~。

 なんでなにかと俺と比べるんだよ。あれに勝てるわけねえだろ。

 言ってて悲しくなってきたわ。


 ていうかこいつがこんなだから恨まれるんじゃねえの?

 さすがにこのままではないだろうけど、

 その発端が出ていないとも限らない訳であって。


 学校付近の住宅街を抜けて、都内の駅に入った両助たちは、

 お互いの路線に向かって別れた。

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