第2話 落第勇者、チームを紹介される

 そして足早に代表室に向かい、3回ノックしてから「どうぞ」と聞こえたので部屋の中に入る。


「失礼します、藍坂隼人です」

「お久しぶりです隼人君。怪我はすっかり治っている様ですね」

「お久しぶりです優奈さん。お陰様ですっかり治りましたよ。ほら———」


 俺は目の前でバク宙を披露。

 しかし着地と同時に清華に頭をはたかれてしまった。


「いてっ」

「此処をどこだと思っているの? 代表室で変な事しないで」

「すいません……」

「はっはっはっ、いいんだよ清華君。彼は我が組織の救世主だからね。所属して居てくれるだけで、他の組織の牽制にもなるから」

「そうですか……代表が良いのであれば何も言いません。———隼人は寛大な代表に感謝しなさいよ。他の組織なら追放ものだからね」


 そう言って眉を寄せて怒る清華だが、正直全く怖くない。

 顔がいいと怒る顔も可愛いと言うが、あれはどうやら事実らしい。

 今度は優奈さんの怒り顔も是非見てみたいものだ。


「———あ、そうだ、俺が呼ばれたのって優奈さんのチームへの紹介が目的らしいですね」

「そうです。今私の部下が此方の部屋に向かって来ているので、もう少し待っていただけるとありがたいです」


 優奈さんがそう言うが、俺は勿論言われなくても待ちますよ。

 それに優奈さんのお願いですから。

 

 俺が心の中でそんな事を思っていると、代表室の扉にノックされ、3人の男性が入ってきた。


「失礼します。第1異能部隊到着致しました」


 扉から入ってきたのは、ガタイのいい坊主頭の男と、眼鏡をかけた長身細身の男、金髪に染めたのであろう黒と金が混じった髪の顔が整った中肉中背の男だった。

 名前は先程資料で見たが、坊主頭が三木谷で、眼鏡が佐原、金髪は矢上と言うらしい。


 一応俺が1番下っ端のため、先に挨拶する。


「初めまして先輩方。俺の名前は藍坂隼人と言います。つい先日まで入院して居たため、挨拶が遅れてしまいました」

「ああ君が藍坂君か。ふむ……思っていたより子供だな。だが俺の異能力がお前が強いと言っているから相当努力したんだな」

「———三木谷、先に自己紹介しろ。……初めまして藍坂隼人君。僕は佐原拓人と言う。異能は結界系だ。これから宜しく」

「宜しくお願いします」


 三木谷先輩を押し退けた佐原先輩が1番に自己紹介して手を出してきたので、俺は手を握り返す。


 異能は結界系か……有能な異能だな。

 結界は色んな使い道があるから、俺も何度も欲しいと思ったことがある。

 だってこれさえあればゴブリンに殺される事なんてなかったはずだし。


「次は俺だね! 初めまして隼人君! 俺は矢上彰人、趣味は実践的な筋トレ、格闘技、ナンパだよ。宜しくねっ!」

「よろしくお願いします矢上先輩! それで筋トレはどんな事をするのですか!?」

「幻影との実戦で重い武器と防具使って限界まで戦うんだよ。その後のナンパはマジで勝率高い。今までの勝率は7割だ!」

「なるほど……参考になります」

「「参考にしなくていい(です)!!」

「グハッ———!?」

「矢上せんぱぁぁぁああい!」


 清華と優奈さんに吹き飛ばされる矢上先輩。

 矢上先輩はそのまま空中で何回転もしながら地面に顔面から着地した。


 そんな矢上先輩だが、誰にも心配されることはなく、三木谷先輩が苦笑しながら話し出した。


「あいつの事は放っておいていい。どうせいつもあんな感じだからな」

「は、はぁ……」

「俺は三木谷賢治。一応この部隊の副リーダーをやっている。異能は武器マスタリーだ。どんな武器でも使いこなせる。あのチャラ男はゴリゴリの身体強化系だ」


 あの矢上先輩とは戦闘のやり方が俺と似てそうだな。

 修行の仕方も似てるし。


「こんな賑やかな部隊だが、これから宜しく頼むぞ藍坂君」

「はい、よろしくお願いします!」


 こうして俺のチームへの初めての顔合わせが始まった。


 

————————————————————————————— 

 下⇩⇩⇩の☆☆☆を★★★にしてくださると嬉しいです。  

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る