最終話:英霊達よ、永遠に!

 北海道を中露及び売国奴達から取り返した日本では新たに驚愕する事が起こっていたのである。

「何だって!? 日本全国の英霊達が還っていくだと?」

 日本各地の英霊達は北海道奪回の報を受けた時点にて、隊列を整えて再び元来た護国神社や靖国神社に戻っていく。

 各地の護国神社周辺では日の丸の旗を持った無数の人々が護国神社の本殿へ向かう英霊達に感謝等の言葉が嵐のように彼らを包む。

 本殿手前にて隊列を整えた英霊達が行進を止めると綺麗な回れ右をすると人々に対して敬礼をすると初めて笑みを浮かべて再び踵を翻して本殿へ消えていく。

 首相官邸では夏目総理が英霊達の帰還の映像を見ていた。

 横にいる官房長官に喋りかける。

「長官、これからの日本は激しい嵐の大海に足を踏み入れる事になるがかつて日本の為に命を掛けて戦った英霊達に恥じない生き方をしないといけないね」

 夏目総理の言葉に官房長官も頷いて靖国神社の方角に目を向ける。

 強硬手段によってだが反日勢力や売国奴集団の組織は九割以上が殲滅されて今まで秘匿されていた事や嘘の事が真実かのように報じられてきた数々の真実が暴露されていく。

「先ずは、この国に巣食う病魔を根こそぎ狩り取ることが大事だ、残存勢力も何としても炙り出して駆逐する」

 夏目総理は、執務室の机に飾っている集合写真を眺める。

 四年前に伊400から退艦する時に全員で撮った写真であった。

「……日下艦長、橋本先任将校に皆、私は必ずこの世界の日本を美しい国にすることを誓います」


♦♦


 一方、札幌市を解放した乃木希典率いる第三軍は陸上自衛隊と交流をしていたのである。

 英霊と言っても彼らは普通に喋れるし喜怒哀楽もきちんとする。

 但し、食事等は出来ないが……。

 日露戦争の英雄、乃木希典と握手した自衛官達は感激する。

 だが、その交流も時間にして一時間も経っていないが彼らは再び戻るためにこの地を離れる事を言う。

「乃木閣下! これからの日本の防衛は我々自衛隊がきちんと使命を果たしますので靖国で安心してこの日本を見守って下さい」

 第七機甲師団長『双葉安国』陸将が乃木希典に敬礼しながら答えると乃木も笑みを浮かべて頷くと敬礼を以て返す。

 既に第三軍は、隊列を整えて石狩港に向けて行進している

 国道の端を後進する英霊達に道民たちは大歓声の嵐を以て見送っていく。

 高齢の爺さんや婆さんは涙を流しながら拝んでいる。

「私の曽祖父は203高地で壮絶な戦死を遂げたと聞いているけどあの中にいるのであろうか?」

 そんな会話が為されているが行進は黙々と続いて石狩港に到着すると沖合から戦艦“三笠”が霧の中から出現して港に接舷する。

 英霊達が続々と“三笠”に乗艦していくのを自衛官達が最敬礼で見送る。

 石狩湾沖合には護衛艦が護衛の為に停泊している。

 その甲板上にも乗員達が勢揃いして敬礼している。

「双葉君と言ったかな? ロシアや中国との戦いはこれから始まると言っておこう。我々は命を掛けてロシアから日本を護ったと言う自負がある。貴官達も頑張ってほしい」

 乃木の言葉に双葉も頷いて英霊達に顔を向けれない無様な事は一切しないと誓い再び英霊達の手を借りる事になるような事態にはしないと言う。

 二人は固い握手をすると乃木は“三笠”に乗り込む。

 “三笠”のスクリューが回転してゆっくりと桟橋から離れていく。

 甲板上に英霊達が整列して港にいる無数の市民達に敬礼する。

 大歓声に見送られて“三笠”は霧の中に入り姿が見えなくなる。


 ♦♦


 皇居では、明治大帝と今上陛下を始めとする皇族たちが感動の対面を果たしていて楽しい時間を過ごしていたのだが乃木希典率いる第三軍が札幌を奪回して中露軍を殲滅した報を受けた時、明治大帝は頷くとゆっくりと席を立って陵墓へ帰還する事を伝える。

 既に皇居の外では伊藤博文を始めとする明治の元勲達が勢揃いしていて明治大帝の姿を待っていた。

 当然、周囲は無数の都民がいたのだが警視庁や警察庁及び自衛隊によって厳重に垣根を作っていたのである。

「もう駄目だな、この国はと悲嘆した事があったがそれは間違いであった! 国を愛する若者たちが未だ無数にいる事に安心したよ」

「最早、過去の亡霊たる私達がいなくてもやってのけるでしょう、この世界に具現した時に反日集団や売国奴を始めとする日本にとって災厄を招く存在は滅ぼしたと思うのだが残存勢力はあるだろうな」

「まあ、これからは我々が出来る事は、見守ることしか出来ないですが夏目総理大臣なら困難な国勢を乗り切れると思うさ」

 伊藤博文が珍しく夏目総理の事を褒める。

 そんな話をしている時に桜田門から明治大帝が今上陛下を始めとする皇族の方々と一緒に出て来ると全員が不動の姿勢をして明治大帝を迎える。

「では、行こうか諸君! 我らがいるべき本当の場所に」

 こうして全ての英霊は靖国神社やそれぞれ個々の墓所に帰還していった。

 この様子は世界各国のTV局によって全て撮られていて世界中に映像が流れていたのである。

 ロシア大統領や中国最高主席は今回の敗北に激怒したが最早、九割以上のスパイや反日団体が粛清されたので工作はほぼ不可能状態になっていた。

 だが、日本は安全になったわけではなく、今以上に危ない位置付けに立っているが夏目総理を始めとする新政権によって困難を乗り越えていくのである。


♦♦


「これで、全てが終わったのだな! 久々に長い滞在であったな? 橋本君」

 伊400艦橋甲板にて日下艦長は甲板鎖にもたれながら橋本先任将校に言うと橋本も笑みを浮かべて頷く。

「そろそろ、移転する時間になりますな! 今度は何処に行くのやら?」

「それは正に神のみぞだろうな、夏目少尉……いや、今は総理だったな! 彼のこれからの限りある人生を有意義に過ごして天寿を全うする事を祈ろうか」

「ええ、そうですね? そろそろ暗闇が迫ってきましたね、戻りますか」

 二人がハッチを開けて発令所内へ入って行くと『吉田重蔵』技術長がやってきて夏目少尉にお土産を渡したことを報告する。

「ご苦労様です、吉田さん! うまく活用して欲しいな」

「しかし、お聞きしたいのですが……戦艦“三笠”はどうなったのですか?」

 吉田の質問に日下は信じられない事だが“三笠”はそのまま固定されていた場所に戻ると出撃前と同じ状態になる。

「崩壊したコンクリート部分も元に戻った? 凄いですな」

「全てが出撃前のそのままだとのことだ」

 流石は伊勢神宮の祭主様の神通力だと感心する。

 そして……伊400はゆっくりと潜航していく。

 海中では巨大なシロナガスクジラが悠々と泳いでいたが前方に大きな障害物を発見したので面倒くさいが回避する行動を執ろうとしたが急に前方の障害物が消えてしまったのでびっくりしたが直ぐにそれを忘れて優雅に直進していったのである。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ロシアにより征服された北海道を取り戻せ! 散って逝った英霊達よ、今こそ立ちあがれ @vizantin1453

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ