第2話:英霊復活

  衝撃的な出来事が起きた翌朝の世界のニュースはロシアによる電撃的な北海道の主要都市である札幌・石狩市を掌握したばかりか北海道の全自治体の七割が鈴原知事の誘いに賛成して日本国から独立宣言して“北海道人民共和国”設立を宣言してその共和国の防衛を中露に決定して続々と人民解放軍やロシア軍が上空から次々と舞い降りていく。

この衝撃的なニュースは全世界中に一気に配信されて現在進行形のウクライナ侵攻のニュースが吹き飛んだのである。

 東京では直ちに閣僚が首相官邸に集合して対策を練ることにしたがその閣僚の半分が欠席状態であり彼らの全員が親中露であった。

「これは……一体、何なのだ!? 間も無く憲法改正の国会投票が行われる重要な時期に北海道にロシアが侵攻して独立? はい?」

 第105代日本国首相『貴志田信利』は半数しかいない主要閣僚がいる会議室で怒鳴ったが誰も一言も話すことが出来なくて無言状態であった。

「……どうやらこの北海道侵攻はかなり前から画策されていたと思われます。ちなみに相当悪いニュースが今しがた入ってきましたがお聞きになりますか?」

 法務省大臣『榎武明』が難しい表情で貴志田総理に尋ねると不機嫌な様子で頷くとこれもまた、衝撃的な内容であった。

 左翼政党と言われた“立身民政党”“社会民政党”“世界平和党”所属議員が日本国内の全自治体に独立宣言をするように放送すると既に親中露派の議員に議会が乗っ取られている自治体が次々と独立宣言をしてその庇護として中国とロシアに人民解放軍等を駐留させて欲しいと言っていることを報告する。

 貴志田総理は机を両手でドンと思いきり叩いてふざけるなと怒鳴るが彼らには何も出来なかった。

「早矢仕田外務大臣、ロシアや中国には抗議をしたのか? 大使を呼び出してここに出頭させるのだ!」

 首相の言葉に早矢仕田は困惑した表情で既に両国の大使館には大使を始めとする主要な外交員全員が昨夜の内に大使館を出て現在、行方不明だとの事を報告する。

 大使館を護るのは警察であったが大使館から出た者は一人もいないと言う事で中に脱出経路があるのではという予想が立てられている。

「大使館内は捜索したのかね?」

 その問いに早矢仕田は首を横に振って大使館は治外法権なので大使館側の許可が無いと立ち入れないのですと説明する。

「戒厳令を発動して自衛隊に防衛出動を発令しますか?」

 防衛省大臣『佐久間良治』が首相に尋ねるが財務大臣兼副首相『天羽信二』がしわがれた声でそれを拒否する言葉を出す。

「佐久間君、君は正気かね? 防衛出動を命じ、戒厳令を発動したらこの国の経済や治安が増々悪化するばかりか我々の首が飛ぶぞ? ここは米国に全てを任せるのが筋ではないかね?」

 天羽の言葉に貴志田は諸手を挙げて賛成すると直ちに在日米軍最高司令官に今回の騒動を収めて欲しいと依頼するのだと早矢仕田に命令する。

「沖縄方面もやばいかもしれない、尖閣方面もな! 最も米軍がいるから彼らもそう簡単に手を出す事はないと思うが」

 半分の閣僚が集まらないばかりか初めての出来事だったので右往左往状態と未だに自分達の特権を失う事の恐れが彼らの頭の中を支配していた。

 首相秘書官が転げるように会議室に入ってくるとこれもまた驚愕な報告が入ってきたがこの報告が一番、最悪であった。

「何だと!? 日本国内全土で暴動とテロだと!? 在日中国人を中心として日本人もが銃や武器を手に取って暴れていると?」

「恐らく中国本土から命令があったのだろう。日本に来る者達は本国に家族を残してきているから家族の命を盾にされて逆らうことが出来なかったに違いない」

 これを皮切りに続々と最悪な凶報が入ってくる。

 在日中国人や政治に不満がある日本人によるテロや暴動によって都市部の電線や変電所があちらこちらで爆破されて大停電が発生したとのこと。

「報告です、大都市部主要電気網が切断破壊されて電気の供給が不可能になりました。それにより各自衛隊基地のレーダー網が使用不可になり緊急用の予備電力で作動していますが数時間で使い切りそれからは盲目状態との事です」

「……総理! 在日米軍から報告がありました」

 それを聞いた貴志田と早矢仕田は笑みを浮かべてその返答を催促するが秘書官から文面を聞かされた時、崩れるように膝をつく。

「馬鹿な! 在日米軍は一兵たりとも一切、動かないだと? 欲しい情報と燃料弾薬は好きなだけ渡すが軍は動かせないだと? 先ずは貴国が動くべきだと!? ふざけるな! 毎年どれだけの思いやり予算を渡していると思っているのだ!? 天文学的な思いやり予算を渡しているのだから命を掛けて日本を護るのが筋ではないか?」

 天羽財務大臣が怒鳴り散らすが出席している閣僚達は真っ青な表情になり俯いたままの状態であった。

 在日米軍に最後の希望を掛けていたのだったがそれも無駄になり絶望状態が場を支配する。

「……日本は終わるのか……」

 そう呟いた時に首席秘書官が飛び込んできて何も言わずに大型TVのスイッチを入れてこれを見て下さいという。

 その映像を見て首相を始めとする者達は椅子から飛び上がらんほどの衝撃を受ける。

 映っている場所は靖国神社でその奥本殿から続々と旧日本陸軍や海軍の服装をした軍人達が出現してきていたのである。

「こ、これは……何が起きているのだ?」

 この現象は靖国神社だけではなく各地の護国神社からも続々と出現して全員が完全武装をしている。

「……かつて祖国を護って散って行った英霊達が不甲斐ない現在の日本を見て立ち上がったに違いない」

 誰かがそう呟くが国家公安委員長『薮田敏子』が真っ赤な表情になって直ちにあの不審者達を拘束拘禁するか射殺をして治安を守らなければいけませんと喚く。

「この国を戦場にするのですか? あの亡霊たちは再び軍国主義の日本に戻してアジア各国に侵攻して迷惑をかけるつもりです」

 彼女の言葉が聞こえない程、閣僚達は思考が停止して何も考えることが出来なかったのである。

 日本国に対する愛国心を持っていない者達は遠慮なく亡霊たちを始末しろと命令するが普通の愛国心を持つ者はそれを拒否する。

 英霊に向かって発砲する警察官もいたが亡霊である故、現実の弾は全てすり抜けていく。

 靖国神社や護国神社から出て来た英霊達は皆が憤怒の表情をしており東京各地や全国に散開して行く。

 そして次々ととんでもない報告が入ってくる。

 復活した英霊達は暴動を起こしている在日中国人やそれに便乗している在日韓国人や朝鮮人を次々と殺害して急速に治安回復が可能になった事。

 日本全国に出現した英霊達は靖国神社が出来た時からで数十万人の英霊達が出現したのである。

 日清戦争・日露戦争で散って行った日本兵、大東亜戦争で日本の勝利を願って散って行った若者達全ての英霊が日本全国で暴れている暴徒を始末したのである。

 実に約百万人と言う人物が粛清されたのだがその中には反日主義の帰化した国会議員も含まれていて衆議院・参議院の反日議員は全員が一撃で射殺されて真に日本の為に動いている帰化した者達は無事であった。

 この現象はマスコミや教育現場にも起こり、反日国営放送局や民放TV局、新聞社の反日言動を繰り返していた者達も無残に殺害されていたのであった。

 殺す事が出来ない存在に恐怖を為した反日精神を持つ者達は次々と日本国から脱出していく。

 特に昭和天皇の写真を燃やしたり英霊達を馬鹿にした作品や絵を芸術と言って展覧会を実施した主催者を始めとする作者達は全身に銃弾を浴びでられていて一人残らず殺害されていたのであった。

 この出来事は世界中に放映されていて何処の局も生き返った霊魂たちが日本を救っていく出来事といって概ね好意的であった。

 ロシアが北海道を制圧して僅か三日後には北海道を除く全日本本土から反日精神を持つ在日外国人や日本人が始末されたのであった。


 


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