第7話

 今日は時間の流れがすごく早かった。登校して勉強して部活してあっという間に1日が終わった。不思議な感覚を感じていた。楽しみな時間はあっという間に過ぎる。しかし、楽しみな出来事を今か今かと待ち遠しく感じる時間は長いものだったりする。今日はどちらかと言うと後者なはずなのに、時の流れは著しくはやかった。

 放課後、終業式だったためか今日は部活が早く終わった。まだ日の長い夏なのでこの時間を夕方というのはあまり正しくないのかもしれない。学校の近くの神社。住宅街の中にはあまり似つかわしくない木々の中に、鳥居がある。中を潜ると境内を箒で掃除をする見覚えのある姿を見つけた。おじいさんだ。

 「こんにちは。」

 柄にもなく、元気に挨拶してしまった。

 「おぉ、来たか来たか。あのチラシよかったろう。頑張って作ったんじゃ。」

 おじいさんなのに、すごいなぁ。と感心していると続けて話し始めた。

 「まず、お主は最近見えるようになったようじゃな。なので、色々説明せにゃいかんのう。ほれ、魂のやつも精神もついてこい。」

 そう言うと、絵馬やお守りが売っている社務所に案内された。社務所の受付にお姉さんがいた。かわいかった。挨拶が変に小さくなってしまい、恥ずかしくて死にそうになってしまった。そのまま、社務所の奥に案内された。フローリングにテーブルと椅子がある。神社らしくない部屋に少しだけ面白さを感じてしまった。おじいさんはお茶を2人分ポットから出してご馳走してくれた。

 「さて、どこから話すかのう。霊的なものは魂と精神であるというのは知っとるか?」

 「ええ、はい。私で言うとモンとケンですよね?」

 「あぁ、そうじゃ。その魂や精神はは肉体が滅びると、消滅したら成仏するもんなんじゃがそうならないものがある」

 ケンがふわふわと浮きながら話に割って入ってきた。

 「夜に出てくるお化けみたいなやつだよね?おじいさん」

 「そうじゃ、そうじゃ。そのいわゆる地縛霊やお化け、成仏ができていないものを成仏させて欲しいのじゃ」

 「え、え!?でもどうやって…?」

 「精神には自分のイメージや考えが宿る。魂はその強さになって、具現化したイメージの強さ定まるのじゃ。」 

 「…それって私に適正はあるんですか…?」

 「まー、それを今から見ようと思うんじゃ。」

 あまりの展開にモンもケンも驚いた表情だ。そのまま、社務所の下階段をおりていった。

 「それじゃ、バイト面接の時間開始じゃな」


 「え?」

 「え?」

 「え?」


 モンとケンと武の息がぴったりとあった瞬間に奇妙な連帯感を感じた。

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