男に向けて言い放った「わかってる」“あたし”の中で噛み締める「わかってる」真意の相反するふたつの「わかってる」のどちらに、“あたし”の本性が宿っているのか。諦観しているような語り口調の裏側にちらつく、でも、もしかしたら、などという淡い期待。ギャンブルに傾倒していく心理によく似た“沼る女”の性質を、彼女らの建前的な主観で物語る秀作。