一人称改善なるか?

 もうすぐ中学を卒業するてんは。

 現在の一人称は、家では「てんてん」。学校の友人の前では「おれ」らしい。

 おれっこになっていたとは。


 しかしさすがに高校に入学していきなり「おれ」ではちょっと、と思っているようだ。

 まぁそうだろうねぇ。そんな陽キャでもない子、むしろ陰キャがいきなり「おれ」では驚かれるだろう。


 ということで一人称を「わたし」に替えたいようだ。

 意識していうようにしているのは判るが家では「てんてん」になっていることが多い。


 そこでてんはが考えた作戦は「お嬢様言葉で話そう」。

 おもしろいのでちょっと付き合ってみた。


「お風呂の用意ができましてよ。早くお入りなさいませ」

「わかりましたわ、母……、あら、わたくし、母のことはなんとお呼びすればよろしいのかしら?」

「そこはもう、母でよろしくてよ」

「わかりましたわ」


 おほほほほー。と笑う二人。


 ――三分後。


「わたくし、すでに疲れてきましてよ」

「そうでございましょうね」


 さていつまで続くのか。

 というか、これではわたしではなく、わたくしになりましてよ。

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