シノ 〜6人目〜 今日も一日頑張れそう

 久々に呼ばれた気がして起きてみた。

 誰かは分からない。太陽さんかもしれない、お月さんかもしれない、もしかしたら、宇宙に光り輝くお星さんたちかもしれない。

 はたまた、銀河かもしれない。考えたって仕方ない。考えるだけ時間の浪費。

 私はベッドから出て、パジャマからTシャツとランニングパンツに寝ぼけながらも何とか着替える。

 頭はボサボサ、体はだるいし眠い。

 ……でも、を見る欲求が眠気を吹き飛ばす。

 私は洗面台で顔を洗い、ランニングシューズを履いて、人々が眠りにつく中ただ一人私は外へ走り出た。

 真夜中の光が灯る街中に「おはよう」と伝える日光が差し込む。

 何も見えぬ暗闇をまるで曙色のように色付けていく。

 これは私の日課だ。私が唯一の趣味は何かと聞かれれば、ランニングと答える。

 けれども、走ることが好きで走っている訳では無い。

 だけど、とってもとっても好きで大切な日課だ。

 まだ暗く周りが見えづらいけど、電柱の灯りで照らされるいつもの道筋を辿る。

 走れば走るほど心臓の鼓動が速くなる。

 同時に足の俊敏性も速くなる。

 私は身に着けている腕時計で時刻を確認。

 少し急いだ方が良さそうだ。

 そして私は目的地へと到着した。

 眩しい光を放つ朝日が街全体を照らし始めていた。

「うん、綺麗」

 そう、ここは知る人が知る絶景スポット、フルーツライン沿いにある牛奥みはらしの丘だ。

 たまたまここを車で通った時に見つけたのだ。

「あっ、鳥さん」

 鳥さんも元気に空を力強く羽ばたいている。

 ふふふっ、空気も美味しくて眺めも最高。

 今日も1日、私は頑張れそうだ。

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時が経つに忘るるもの〜青春という名のこども心〜 小鳥遊 マロ @mophuline

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