第6話

「お兄ちゃま、私よ。」

妹の麗歌の顔が軽井沢の家のインターホンに写った。

お手伝いのフキがボタンを押すとセキュリテイが解けて車は通された。

入ってきたのは麗歌ともう一人男の姿もあった。


「お兄ちゃま。私の同級生の今野君」

神音は突然の来客に少し驚いたが、柔らかな口調で言った。

「どうぞお入りください」

今野は神経質そうな痩せた男だったが、目が鋭いのが気になった。

「今野といいます。」

「お座りください」


「今野君はね、奥さんが突然行方不明になっているの。それで、警察も探しているのだけど、今あちこちにカメラってついてるでしょう。それで、どうも軽井沢に来たことまでわかったらしいの。」

「警察にばかり頼むのもどうかと思いまして。麗歌さんのお兄様が軽井沢に住んでいることを思い出しまして何か情報がないかと」


「情報、と言いましても・・」

「うちは広いから、一人くらい誰かが住んでても、気が付かないわよって冗談言ったら、本当にお家の中見せていただけませんかっていうもんだから(笑)」

 麗歌が笑って言った。


神音は思わず今野の顔をみた。

「お願いします。是非!」

「いや・・」

「いいでしょう、お兄ちゃま、私がご案内するわ。」

麗歌は立ち上がった。

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