真蛇の面をとって

増田朋美

真蛇の面をとって

その日、杉ちゃんとジョチさんは用事があってでかけた帰り、ちょうどお昼時ということもあり、ぱくちゃんのラーメン屋である「いしゅめいるラーメン」に立ち寄った。二人が店に入ると、店の主人であるぱくちゃんが、困った顔をして店のレジ近くに立っていた。

「どうしたんだよぱくちゃん。今日はいらっしゃいませも言わないじゃないかよ。」

杉ちゃんがそう言うと、ぱくちゃんは一番奥のテーブルに座っている女性を顎で示して、

「あの女性。二時間以上もあの椅子に座ってて、担々麺を注文したのはいいものの、食べようとしないんだよ。それで、声をかけようと思うんだけど、どうしようか迷ってて。」

と言った。確かに、そういう客は迷惑ではあるので、すぐに出ていってくれないかと言ってもいいものであるが、ぱくちゃんは気持ちが優しいのでそれができないのだろうと思われる。

「そうですか。それでは困った客ですね。もうほかのお客も来ているから帰ってくれというわけには行かないのですか?」

と、ジョチさんが言うと、杉ちゃんが、

「でもあの女性、どっかで見たことあるんだよ。何だったかなあ。どっかの舞台で、すごいのやってた覚えがあるんだ。何ていう舞台だったかな?」

と、杉ちゃんが腕組みをした。よく見るとその顔は、ジョチさんにも、見覚えがある顔だった。ぱくちゃんの方は、全然見たこと無い女性だけどと言っているけど、杉ちゃんもジョチさんも、どこかで見覚えがある顔であることは間違いない。

「あ、思い出した!あいつは、能楽家の川瀬繭子だ!あの、道成寺で真蛇の面を被って、踊り狂ったあの女だよ。」

いきなり杉ちゃんがでかい声でそういった。すると、席に座っていた女性は、正体がバレてしまったかという顔をして、泣き出してしまった。

「な、何?そんな有名人だったの?それならぜひ、うちの店に来た記念にサインをもらわなくちゃ。」

お調子者のぱくちゃんがそう言うと、ジョチさんもそれを見て、その女性が川瀬繭子だと確信したらしい。

「そうですね。間違いありません。彼女は金春流のシテ方をしている川瀬繭子さんで間違いありません。僕と杉ちゃんが、国立能楽堂に行って、道成寺を拝見したのでよく覚えております。あの当時は、シテ方を女性が勤めるのは非常に珍しいことだったからよく覚えております。杉ちゃんの言う通り、真蛇の面をつけて、清姫の化身を見事に演じておられました。ある意味、男性が演じる清姫と違って、ずっと色気があり、女性らしさが出ていました。」

「しかし、なんでそんな有名人が、うちの店に来たんだろう?」

ぱくちゃんの言う通り、そこが不思議だった。

「もう、お二人は、私の名前をご存知なんですか。」

と、不意にその女性が言った。

「田舎であれば、能楽に詳しい人もあまりいないと思ったのですが、大間違いだったようですね。」

「おう。」

と、杉ちゃんは車椅子を動かして、川瀬繭子さんの直ぐ側まで行き、とりあえず担々麺を注文した。

「今は、インターネットもあるし、田舎の人たちが名前を知らないということは無いと思いますよ。それにあなたは、あのときの清姫役でかなり騒がれたようですし、中には、親しみを込めてあなたのことをぴーすけと呼んでいる人もたくさんおられました。確か、あなたが真蛇の面を被って清姫を踊っていたときに、外国の方が面白がって口笛を吹くので、ぴーすけと呼ぶようになったとか。それほど、あなたは、よく知られている能楽家ですよ。」

ジョチさんも彼女の近くの席に座りながら言った。

「何だ、ぴーすけさんだったのか。それなら僕も名前を聞いたことがあるよ。日本には、怖い女がいるもんだと思ってたけど、まさか本人が、家の店に現れるとは。ぜひサインをちょうだいよ。」

ぱくちゃんは、二人分の担々麺を持ってきながら、嬉しそうに言った。

「しかし、あなたは、道成寺で清姫を演じて、能楽家として、人気絶頂にあったとき、いきなり活動休止を発表し、そのまま一切能舞台からは退いてしまいましたね。」

「そうだったそうだった。もう少し、ぴーすけの真蛇を見てみたかった。」

ジョチさんと杉ちゃんが、相次いでそういうことを言うと、

「そういうことをしていた時代もありましたが、私はもうぴーすけではありません。ただの、川瀬繭子です。道成寺で、真蛇の面を被って踊っていたことなど、もう忘れました。これからは、川瀬繭子として生きるつもりです。だからもう、ぴーすけとは呼ばないでください。」

と、繭子さんは言った。

「真蛇ってなあに?」

ぱくちゃんが興味深そうにそういった。

「あのね、能はそのままではなくてお面をつけて踊ることは知ってる?」

杉ちゃんが説明を始めた。ぱくちゃんが知っているというと、

「その、女の嫉妬を表現した面として、橋姫、生成、般若の面があるのは知ってるね?般若なんて、テレビでもよく取り上げられるから、聞いたことあるんじゃないの?」

と、杉ちゃんが言った。

「あの、頭に角が生えた鬼女の面だね。」

ぱくちゃんが言うと、

「それのもっと更にひどい嫉妬の情に駆られてしまって、人の言うことを聞けなくなった状態の面を真蛇と言うんだ。般若の角は曲がっているが、真蛇はまっすぐに生えている。それに、耳がなかったり、口が裂けていたりするところが違いだよ。道成寺で、清姫の化身を演じるとき、使うんだ。その真蛇の面をつけて、彼女は清姫役を踊っていたのさ。すごい女々しい女というのがよく分かる舞台だったよ。」

杉ちゃんはカラカラと笑った。

「詳しいんですね。こちらの地域で、お能に詳しい方はなかなかいないと思っていましたが、まさか般若と真蛇の説明ができる方がいらっしゃるとは。」

繭子さんがそういう通り、能というものは、映画と違って、人気のない芸能だ。見に来るのはだいたい年寄りばかりだし、それに何をやっているのかわからないとクレームが付くこともある。

「そのくらい、日本人であればみんな知ってらあ。」

杉ちゃんはカラカラと笑って、担々麺を食べ始めた。

「早く食べよう。冷めちゃうよ。お前さんも、放置しないで、しっかり食べろ。」

杉ちゃんに促されてジョチさんも、繭子さんもラーメンを口にした。それをしてくれてぱくちゃんは、やれれやっと食べてくれたと大きくため息を付く。

「しかし、なぜ、この店に、二時間も居座っていたんです?なにか、あったのですか?それに、ああして人気絶頂にあったあなたが、いきなり能から姿を消してしまったという点も気になります。あなたの清姫を見たいと思っている人は、多かったはずです。なのに、なぜ、能舞台から姿を消したのですか?」

ジョチさんは、そう繭子さんに聞いた。

「いえ、大したことありません。本当に、大したこと無いんです。」

そういう繭子さんに、

「はあ、大したことだと思うけど。それとも、このまま、川瀬繭子として生きていくつもりかい?」

杉ちゃんは、ちょっと茶化すように言った。

「ええ。あたしは、もう真蛇の面はかぶれなくなりました。もう道成寺は踊れません。もう、そういうことはしないで、普通に生活したいんです。」

そういう繭子さんは、なにか決断を示したような顔をしていた。その顔があまりにも真剣だったので、ジョチさんは、なにかわけがあるのではないかと思った。でも、杉ちゃんのほうは、ちゃんと答えを聞かないと、納得しない性分なので、まだこのように聞いてしまうのだった。

「はあ、つまり、能舞台と、真蛇の面からは永久に遠ざかってしまうのか。もう一回見たかったけどな。なんか、それくらいのことを決断すると言うんだから、よほど大きな事情があったんだろう。能と別れなければならない事情がね。ぜひ、聞かせてくれよ。別れはどこにあるのかな?」

「そうですね。きっと家庭の事情とか、そういうことだと思います。どんな人だって、そういう事情からは離れることはできませんもの。もし、私の事をもっと知りたかったら、インターネットのウェブサイトとかで、検索したら良いと思います。そうすれば私のことも多少書いてあるのではないですか。」

繭子さんは、少々閉口しながら、そう答えたのだった。杉ちゃんは、わかったよといい、それ以上は聞かなかった。代わりにぱくちゃんが色紙を持ってきて、繭子さんにサインを頂けないかとせがんだが、繭子さんは自分はもうぴーすけとは呼ばれることも無いといって頑なにそれを断った。それと同時に、杉ちゃんのスマートフォンがなったので、もう帰ろうかということになり、杉ちゃんとジョチさんは、ぱくちゃんに担々麺のお代を払って、ラーメン屋を出ていった。それと同時に繭子さんも、長居をしてすみませんでしたと言って、ぱくちゃんに担々麺のお金を払い、店を出ていった。繭子さんは、杉ちゃんたちとは反対の方向に歩いていった。

それから数日後のことである。何気なく、夕刊を開いたジョチさんは、夕刊の片隅に、こんな記事が乗っているのに気がつく。

「富士駅近くの公園で、女性の遺体発見。高校生を逮捕。」

それを聞きつけた、杉ちゃんが、一体どうしたのと聞くと、

「いや、新聞の記事によりますと、富士駅の近くで、吉永高校の教員の遺体が発見されたというのです。なんと殺害したのは、高校生だったというものですから、驚いています。高校生が、教員をカッターナイフで切りつけて殺害するというのですから、富士市も物騒な街になりましたねえ。」

とジョチさんは答えた。すると、いきなり製鉄所の玄関の引き戸が開いて、

「失礼ですが、警察です。ちょっとお話を伺わせて貰えないでしょうか?」

という声が聞こえてくるので、杉ちゃんもジョチさんもびっくりする。とりあえず、二人は玄関先へ行ってみると、

「先日、吉永高校教員の遺体が発見された事件をご存知でしょうか。その事件の容疑者として、鈴木美桜という女性を取調べしています。あなた達もわかるんじゃないですか。鈴木美桜と名前を聞けば。」

刑事は厳しい表情で言った。

「ええ、たしかに鈴木美桜さんは、昨年こちらを利用しておりました。本当に、その事件にかかわっているのでしょうか?」

とジョチさんがそう言うと、

「だからこそ、あなた方に聞きたいんじゃないですか。鈴木美桜が、なぜこの事件を起こしたのか。それがよくわからないんですよ。だから、こちらにいたときの彼女はどんな様子だったか、教えてくれませんかね?」

と別の刑事が言った。

「はあ、そうですか。つまり動機が不明なんですね。まあいずれにしても、鈴木美桜さんは、とても真面目な人で、きちんとした友達思いの女性です。逆に尋ねるのは僕達ですよ。なぜ彼女がこんな事件を起こしたんですか?」

と、ジョチさんがそう言い返した。

「全く、テレビのワイドショーとか見てないんですか?確かに、そういういい子だったということは確かですが、学校の成績は非常に悪くて、授業のときに、被害者の教員に叱られていたそうです。それで、我々は、彼女が殺意を持ったと思い、犯行に至ったのだと思っていますが、彼女が何も話してくれないから、苦労しているんです。」

はじめの刑事が言った。杉ちゃんとジョチさんは顔を見合わせた。

「確かに、鈴木さんは、学校の成績は悪いことは確かで、それで、親御さんにも叱られていたということは聞いたことがありますが、彼女が、相手を殺害するということは、ちょっと考えられません。ちゃんと物的証拠はあるんですかね?」

「はい。そこははっきりしています。彼女のカバンの中に、凶器のカッターナイフが見つかっていますし、血痕も付着していました。また、彼女はが自殺願望を抱いていて、消えてなくなりたいと漏らしていたこともわかっています。」

刑事は得意げに言った。まあ確かに、これだけ証拠が揃っていれば、鈴木美桜の犯行と言わざるを得ないのかもしれないが、杉ちゃんがすぐにこういい出した。

「だけどねえ。彼女は、突発的に、殺人をしようと思うかな?彼女は、たしかに試験の点数は取れない生徒だった。でも、車椅子の僕が横断歩道を渡るの手伝ってくれたりしてくれたぜ。それは、無駄なことだったのか?そんな事無いと思うけどな?僕達は、ちょっと彼女が、誰かを殺害しようと思ってしまうとは思いませんね。それは、誰かにそそのかされたのか、それとも吹き込まれたのかもしれない。そういうこともあるってちゃんと調べてよ。」

それと同時に刑事の一人がスマートフォンで電話をし始めた。刑事たちは電話を聞くと、顔色を変えて、すぐに戻るといった。

「一体何があったんです?」

と、ジョチさんが聞くと、

「いや、鈴木美桜が供述を始めたそうですよ。なんでも、インターネットで知り合った女性に今回の事件を起こすようにとそそのかされたようです。」

と刑事が答えた。

「はあなるほどねえ。確かに最近の若いやつは実際に会うやつよりも、インターネットで知り合う架空のヤツの方を大事にしてしまうから困るんだよな。で、その知り合った女性って誰だよ?」

杉ちゃんがそうきくと、刑事たちは、それはこれから取り調べてわかると言った。二人の刑事は、そそくさと、製鉄所を出ていった。杉ちゃんたちは、それを嫌そうな顔で見送った。

「本当に鈴木美桜さんの単独犯行なのでしょうか?僕達は、彼女がそういうことを考える人間では無いと思っていましたけど、そうではなくて別の顔があったんですかね?」

ジョチさんがそう言うほど、杉ちゃんたちが知っている鈴木美桜さんは、人を思う気持ちが強く優しい女性だった。少なくとも、相手を殺してしまうなんて、そんな気持ちがあったのかどうか。

その翌日。ぼやぼやした気持ちを抱きながら、杉ちゃんとジョチさんは、ショッピングモールへ買い物に行った。帰りに、図書館へ本を返さなければならなかったので、二人は図書館へ行った。本を返して、何気なくおいてあった雑誌の表紙に目をやると、「人権の集い」という雑誌があって、その表紙に、川瀬繭子の名があった。ジョチさんは、その本を取って、中身を読んでみると、たしかに川瀬繭子さんの投稿があった。それによれば、彼女には、一人娘がいたが、その子が成績が悪かったせいで、授業についていけず、学校に居場所をなくして自殺してしまったのだという。繭子さんは、そのような不幸な子供を一人でもなくすために、子どもたちに能楽を学ばせて立ち直らせたいという趣旨の投稿をしていた。

「もしかして。」

と杉ちゃんが直感的に頭を働かせる。こういうときに杉ちゃんの勘は鋭く、すぐに当たってしまうのだった。

「鈴木美桜に、教師を殺害しろとそそのかしたのは、繭子さんでは、、、?」

「そうかも知れませんね。」

ジョチさんも、今回はそうかも知れないという顔をした。

「今の時代であれば、フェイスブックなどで簡単に繋がれます。それに、日常生活のことだって、投稿を見ればどんな生活をしているのかも把握できます。もし、川瀬繭子さんの娘さんが、鈴木美桜と似たような境遇であったなら、繭子さんが、彼女にそそのかすことだってあり得るかもしれないですね。」

でも、二人がどうすればいいのだろう?二人にできることは何も無いのだった。ラーメン屋さんで会ったとき、連絡先も聞かなかったから、彼女がどこに住んでいるかも知らない。ただ、知っているのは、杉ちゃんたちと反対方向へ歩いていっただけだった。

「もしかしたら、川瀬繭子さんのSNSなどでヒットできないかな?」

杉ちゃんがそう言うと、ジョチさんは、スマートフォンを出して、川瀬繭子と検索してみた。すると、たしかに川瀬繭子さんの名が出てきた。一応、投稿写真も公開しているようで、その中には、灰色の墓石が映っている写真もある。もしかしたら、娘さんのものかもしれない。もちろん、娘のものだと記述してはいなかったけれど。SNSによると住んでいるところは、静岡県の小山町だという。杉ちゃんたちは、明日、小山町にいってみることにした。

沼津駅から、御殿場線で駿河小山駅で降りて、とりあえず駅前交番に行って、川瀬繭子という女性が住んでいないか尋ねる。おまわりさんの話によると、駅の近くにある、小さなアパートに、川瀬繭子という女性がいるということがわかった。杉ちゃんたちは、おまわりさんに言われた通りの道順を歩いて、そこへ行った。マッチ箱を2つ重ねたような小さなアパートで、ドアノブには、「welcome」と書かれた小さな木の看板がつる下げられている。杉ちゃんが迷わずに、インターフォンを鳴らすと、ガチャンとドアが開く音がして、どちら様ですかという声が聞こえてきた。そして、川瀬繭子さんが現れた。杉ちゃんが、観光で近くを通りかかったというと、繭子さんは寒いのでとりあえず上がってくださいと言って二人を中へ入れた。

「じつはだねえ繭子さん。富士で、学校の教師が、滅多刺しにされて殺害されたのは、ご存知だろうか?僕らは、それをお前さんが促したのではないかと思ってるんだ。事件の加害者と言われる鈴木美桜さんはちょっとした知り合いでさ。どうしても彼女が単独でしたこととは思えないんだ。もしかしたら、鈴木美桜さんと、繋がっていたとか、そういうことはなかった?」

杉ちゃんは単刀直入に本題を言った。

「あたしは、殺人をしろといったとか、そういうことを言った覚えはありません。ただ、私の娘のように、教師にひどい事を言われて自殺に追い込まれた子供を増やさないために、彼女にアドバイスはしました。だってこのままだと、彼女は何も取り柄もなく、寂しい人生しか送れなくなってしまうと思ったからです。」

と、繭子さんは答える。

「その思いが、今回殺人を引き起こしてしまったんだと、後悔していませんか?」

ジョチさんが聞くと、

「いえ。私は、直接彼女にそうするように言ったわけではありません。確かに、成績が悪いので、いつも叱られてばかりいる彼女を、励ますことはしましたが、彼女がそういうことを考えているなんて、全く気が付きませんでした。それに、全ては教師が悪いのです。だって、子供を教師のせいでなくした親の気持ち、あなた達にわかりますか!」

繭子さんは、きっぱりと言った。その顔は強い怒りの顔で、正しく真蛇の面にそっくりであった。

「早く、真蛇の面を取ってくれるといいな。」

杉ちゃんが小さな声で言った。




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真蛇の面をとって 増田朋美 @masubuchi4996

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