一字も書けなくなった日 🧶

上月くるを

一字も書けなくなった日 🧶





 呼吸をするように文章を書いていたい。(*''ω''*)

 そんな誓いを立てて何年になるだろう。( ^)o(^ )


 執筆も一種の筋トレなのか(笑)ぎこちなかったペンが自然に奔るようになった。

 長編のプロット(かっちりした起承転結)は苦手で掌編に限ってではあるが……。


 テーマさえ閃けば、パソコンに向かうと同時に、流れるようにことばが出て来る。

 と言うとヒケラカシっぽいが(笑)、ヨウコさんの書くものなど高が知れている。


 童話(あくまで風)または身辺雑記をいささか小説っぽく色づけしたものだから、ちゃんとした作家のそれとは比べものにならないし、それが分相応と心得てもいる。




      🖊️




 だが、ごくたまに、どうしても筆がのらないことがある。(*ノωノ)

 このあたりも作家めいた書き方で恐縮ではあるが……。(´艸`*)


 先夜、眠れずうなされてばかりなので、思いきって起き出してパソコンを開いた。

 それもあとから思えば、お腹にホッカイロを貼ったままだったからだが……。😅


 一時間ほどで布団にもどるつもりだったが、目が冴えてしまって二度寝はできず。

 翌日も神経が昂っていて昼寝もかなわず、一日中ぼんやりテレビばかり観ていた。


 で、夕方になって、これではならじと重い腰を上げたが……ことばが出て来ない。

 たった一日怠っただけでこの体たらく、自分にはやはり文才が与えられていない。


「ヨウコさん-執筆=ゼロ」の図式だから、そう思い知ったときのさびしさは……。

 そのうえ二晩目も寝不足なのに眠りが浅く、うとうとするとすぐ目覚めてしまう。


 


      🖼️




 いつもの心配性で、まだ起きていないことをあれこれ案じていて、ふと気づいた。

 あの、せいだ、あと味のわるい映画を観たあとのような、きっと、あの、せいだ。


 カクヨムさんの末席に、ちょこんと座らせてもらっている書き手のひとりとして、運営さんで企画してくださるイベントには出来る限り参加するように心がけている。


 で、今回のカクヨムコンにもすべての掌編にチェックを入れた。一万字以内が規定の短編部門に一千字で入選はあり得ないが、祭りは賑やかがよろしかろうと。(*'▽')


 そこまではよかったのだが、あるとき、念のために応募要項を読み直してみたら「令和の私小説」なるジャンルが新設されていることを知り、ふと気持ちが動いた。



 ――いままで封印して来た過去を、ちらっと小説風に仕立ててみようかな。('ω')



 それがいけなかった、カタルシスのつもりが逆にどんどん溜まってゆくモヤモヤ。

 気づけば敗戦後の闇市で無理にカストリでも飲まされたような状態になっていた。




      🎢




「自分の人生は波乱万丈なので小説になる」大方の人がそう思っているという胡乱は重々承知していたし、田山花袋や島尾敏雄ら私小説作家は敬遠していたはずだった。


 なのに一人称視座を警戒しなければならない自伝的要素を含む掌編を自ら執筆し、その残滓ざんしを消化しきれない心の腸の蠕動ぜんどうが不眠を招こうとは予想だにしなかった。


 とりあえず不調の因には突き当たったが、同様の下書きがまだ数編のこっている。

 私小説が持つ両刃の剣の宿命をどこまで客観視できるか至難な課題になりそうだ。




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