第20話 C 舞台裏の発見

「暇ですね、マイナ。いえ、別に気を抜いているとかそういう訳では無いのですが」


「姉さんも『議論開始ロク!』しか、言うことがありませんからね。質問も来ませんし。正直、投票結果を集計する時以外は手持ち無沙汰です」


 マイナはそう答えながらも、手元にあるノーパソで何やらタイピングしていた。パソコンにはクソラグくんの操作を行うソフトが入っているのだが、現在クソラグ君は頭上に投票結果とタイマーを表示して首を回しているだけのはずである。


「マイナ、何をしているのですか?」


「少々ネットサーフィンを」


「なんですって!?」


 妹のま返答にプラは思わず大きな声を出し、「+」ハチマキが鬼の角の様に逆立った。


「こら、いけませんよマイナ! 緊張感が抜けるにも程があります! 今は無関係なことをしている時間ではありません! いくら暇でもやって良いことと──」


「恐らく関係あることなんです、姉さん」


 そう言って、マイナは姉にパソコンの画面を見せた。


「? これはいったい何ですか、マイナ」


「『ヴァルハラにようこそ』、通称『バルこそ』。一度会話の記録に出ていたのが気になり調べました。どうやら本当に、私達のファンブログのようですね。そして──」


 マイナは『チャットにようこそ』という記事の、コメント欄を開いてみせる。


「──二名の参加者が、サイトを通じて事前にコンタクトを取り合っています」

 

 

 

    ・・・

 

   まる:正直、バルこそがまだ残っていたことには驚きました。


 キルキル:わたくしも通知が来た時はビックリいたしましたわ


   まる:完全に駄目元だったので……。


 キルキル:オホホホホホ


 キルキル:まるさん 本当にお久しぶりですわね!


   まる:更新止まってからここ来てなかったですからね、お久しぶりです。


 キルキル:わたくしも 丁度同じ時期にブログ書かなくなりましたわ・・・・


 キルキル:私情でバタバタしていまして


 キルキル:そうこうしている内、薔薇咲先生がネオ・ラグナロク本文までお消しになられてしまい・・・・・・・・・


 キルキル:あああああああああああああああああああ


 キルキル:ですわ


   まる:しかし管理人のキルキルさんと私の前に現れたということは、あのクソラグくんの映像はネオラグ読者に向けて、だったのでしょうか。


 キルキル:うーん・・


 キルキル:どうなのでしょう・・・


   まる:そもそも、誰がこんなことを。 


 キルキル:あの


 キルキル:ところでまるさん


 キルキル:その


 キルキル:行きますか?


   まる:私は取り敢えず行くつもりです。キルキルさんはどうしますか?


 キルキル:わたくしも やっぱり気になりますし


 キルキル:まるさんが来るなら尚更行きますわ!


 キルキル:もしかしたらネオラグファンのオフ会じかもしれませんし!


   まる:あの映像がファンの仕業ってことですか? 普通に何らかの超常現象だと思いますけど。いえ、『普通に』はおかしいですね。


 キルキル:超常現象を扱えるファンの仕業かも知れませんわ!!


   まる:確かに……。


 キルキル:それくらいしか あの映像に説明が尽きませんわ


 キルキル:あ


 キルキル:!!!


 キルキル:もしや薔薇咲円先生では!!!!???????


 キルキル:薔薇咲先生は本当に能力者で ネオラグは経験だったんですわ!


   まる:うーん、かもしれませんね。

 



    ・・・



 

   まる:……ということで、当日何人が集まるかわかりませんが、僕達が知り合いであることは秘密にしましょう。何か役に立つかもしれません。


 キルキル:りょうかいしましたわ!


 キルキル:秘密の協力関係といえば四章を思い出す展開ですわね! ワクワクしますわ!


   まる:雷神と風神のアレですね。懐かしいな……。


 キルキル:あの


 キルキル:本当に願いが叶うとしたら まるさんは叶えたい願いはありますの


 キルキル:?


   まる:うーん、そうですね。


   まる:折角ですし、この話は実際に会ってからにしませんか?


   まる:僕もキルキルさんの願い事を聞きたいですし。これがちょっと変わったオフ会なら、叶わなくてもいい話題になりそうです。


 キルキル:なるほどですわ


   まる:そして僕がキルキルさんの願い事を聞いて、叶えたいと思ったらそう動きます。


   まる:お互いに譲れないなと思ったら、その時は恨みっこなしで正々堂々闘いましょう。


 キルキル:了解しましたわ わたくしもそうしますわ!


 キルキル:楽しみになってきましたわ


 キルキル:ネオ・ラグナロクの世界が体験できるかもと思うと それだけでワクワクしますわ!



 

    ・・・



 

 キルキル:そういえば まるさんはどんな見た目ですの?


 キルキル:今日まで同じ高校生ということすら知りませんでしたわ


   まる:それも会った時のお楽しみにしましょう。


   まる:私も、キルキルさんの性別すら知りませんし。


 キルキル:オホホ


 キルキル:どちらだと思いますか?


   まる:……。


   まる:あ。一応、合言葉を決めておきましょうか。



 

    ・・・



 

   まる:終わったら食事にでも行きましょう。


   まる:現実で普通に喋るキルキルさん、楽しみにしていますね。



 

    ・・・


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