第4話

ある日、私は順平くんと一緒に甘いものを食べに出かけた。

順平くんが誘ってくれたのだ。


私たちは「だだちゃ餅」を楽しんだ。

だだちゃ豆は、山形特産の枝豆。

その豆で作った大福がだだちゃ餅。

とってもおいしい!

新潟に帰った姉に持たせてあげればよかったな。


順平くんは私に尋ねた。


「眞白。最近、眞白が染めたもの、ねかないか?」

「ん? あ、あるよ」


私は、前に順平くんのために手ぬぐいを染めていた。

そろそろ乾燥も終わって色が定着している頃だと思う。


「あのさ、眞白。眞白が染めたものあったら、俺にくれねか?」

「え?」


ちょうどあげようと思っていたところなので渡りに船だけど……でも、なぜ?


「あのさ、俺の親父が、そろそろ身を固めろって」


え?! これって、もしかして……


「それでな、親父は染め物やっているところから嫁もらえって……まあ、俺もその方がいいと思っている」


そっか、ついに……

私の胸が高鳴った。

心臓の音が順平くんに聞こえてしまいそう……


「美紅がさ、なんか染め物を送ってきてさ」


「え? 美紅ちゃんが?」


なんでここで美紅ちゃんの話をするの?

私のドキドキは違う意味のものへと変わる。


「親父がさ、美紅の染め物、褒めててさ。それでな、新庄との繋がりがどうのこうの言っててさ……」


私は動揺した。

これって、順平くんは美紅ちゃんと結婚するってことなの?

順平くんは更に言葉を続けた。


「でさ、眞白が染めたもの、うちに送ってくれないか?」


「え? どうして?」


私がそう聞くと、順平くんは顔を真っ赤に染め、下を向いた。


「俺の方からさ、眞白の染め物、親父に紹介したいから」


え? これって私にもまだ、望みがあるってこと?


「……うん、分かった。でもね、ちょっと待ってて。きれいに染めて持っていくから」


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