個選と共選
さて、今回は出荷についてお話するとしましょう。
農家というものは畑で野菜を育てて収穫し、それから市場に出したりするわけですが、それに対して、二種類の道筋があります。
自分の場合はJAでの出荷になりますので、その出荷形態になります。
まずは“個別選果”です。
これは農家が収穫した農作物を奇麗にして、梱包をそれぞれの作業場で行い、集荷場に出していくというパターンです。
もう一つが“共同選果”です。
こちらは収穫した野菜をそのまま提出し、JAが保有する作業場で梱包作業をしてもらうというパターンです。
当然、それぞれにメリットやデメリットがあります。
“個別選果”(以下、個選)のメリットは、なんといっても自分で出荷調整がしやすいということです。JAの集荷は基本的に無制限であるため、何箱持ち込んでも問題ありません。つまり、人手と畑の作物さえあれば、どれだけでも出荷出来て、バリバリ稼げるというわけです。
一方の“共同選果”(以下、共選)は出荷制限がかけられます。当然ながら、共同の作業場で梱包作業をするわけですから、一日の処理数も限度がありますし、他の農家も利用するわけですから、無制限に持ち込まれると、作業量がパンクしてしまいます。
そこで、共選では事前予約をしなくてはならず、予約量以上の出荷はできない仕組みになっています。
そのため、天候等によりさっさと収穫して出荷したくても、事前の予約枠があるので、それができないわけです。
逆に共選におけるメリットは、自前の作業場を用意する必要がないことでしょう。
作業場一つ揃えるだけでも、建物から梱包資材や機械類など、それらを用意する資金というのはかなり高額になります。
これを考えると、作業場を構えず、共選での出荷を考える人もいるくらいです。
この二つのルートがある中で、自分は個選を選択しました。
理由は“儲けが大きい”からです。
確かに初期投資は大きいし、作業要員として人を雇わねばいけませんし、費用面では負担は大きいでしょう。
しかし、それ以上の稼ぎがあれば、簡単に回収できますし、現に回収できました。
なお、共選が嫌われる原因は、ずばり“手数料”が高いことです。
当たり前ですが、梱包作業を代わりにやってもらっているわけですから、それに対しての手数料が発生します。これがバカ高いんですよね。
自分も前回お話した、作業場未完の時期があったため、やむなく共選での出荷を余儀なくされたことがありました。その際に、手数料の高さがハンパなく、これじゃ利益でないな、というのが率直な感想でした。
というのも、手数料は出荷箱数で決められ、しかも固定額であったということです。
一箱1000円の時に250円の手数料、一箱1500円の時の250円の手数料、こんな感じです。
同じ金額の手数料でも、額が同じであれば、箱単価の上下で負担の大きさが全然違ってきます。
高値が付いているときならいいですが、安い時だと本気で儲かりません。
ちなみに、自分が共選での出荷していた時は“豊作貧乏”なときで値崩れしており、一箱800円の250円という状態。
これだと、儲からないのは分かりますよね?
しかも、そこから別に、JAに支払う手数料が別途発生し、手元には全然残りません。しかも、そこから種代、肥料代、農薬代、土地賃料、人件費(まあ、この時は自分だけなので実質無料)などが引かれるわけですから、もう目も当てられません。
出荷するだけ赤字みたいな状態です。
そのため、個選に切り替わった時の預金通帳に振り込まれる売上金の金額を見たときは、もう本当に世界が変わりましたね。
そうか、農業で“儲かる”んだという実感が湧きました。
以上が、出荷に関するお話です。
JA利用せずに、個別で販路を設けるやり方もありますが、事務処理が面倒なんで、自分はやってません。今のままでも儲けは十分確保できてますからね。
ではまた、次回をお楽しみに~♪
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