ご当地における芋問題

華川とうふ

サツマイモ VS ジャガイモ

 ご当地小説を書くことが今回の課題だった。

 生まれたころから引っ越してばかりいる私にとってはそれはとても難しいことのように感じる。

 仕方がないので、先日正月にきせいしたときのことでも書いてみようと思う。

 わらからなくても、いやでも筆を執らない限り小説というものはできあがらないので厄介である。


 先日、正月に久しぶりにきせいをした。

 実家までの道のりはなかなか大変だった。

 TOKYOステーションは、帰省客でごったがえしていた。

 みんな色んなお土産の紙袋を大事そうに抱えているのがなんとも印象的だった。

 大抵のものはインターネットを使用すれば届く世の中なのに、どうしてまた、わざわざ苦労して箱がひしゃげるリスクを冒しながら自ら運搬するのか子供のころから不思議だった。そして、いまだにその疑問は解決されない。理由がわかる人がいたら教えてほしい。あと、テーマパークで大量に友人にお土産をかう理由も。

 良かったらコメント欄にお願いします。


 まあ、そんなこんなで私は大変な思いをしながらきせいした。

 感じたことといえば、故郷はいいなと思った。


 水は美味しいし、緑も豊か、あと芋がうまい。

 ああ、ご当地ネタと言えば、私の実家と夫の実家は隣みたいなとても近くにあるんだけど、『芋』という言葉は同じでも全然別な食べ物を示していることに気づいた。

 私の故郷の芋は細長く、紫色の皮に包まれて、中身は淡い黄色。お菓子のように豊な甘味に恵まれている。

 対して、夫の実家では、丸くてごつごっつ。土の色をしたものを指す。甘味は少ないが、いろいろな料理に応用でき栄養価も高い。


 結婚当初はこの芋をめぐって、夫婦喧嘩が絶えなかった。

 なんせ、買い物を頼んだらお互いの認識と違うものが来るのだから。

 困惑し、相手を疑い、あと一歩のところで殺し合いになるところだった。

 特に問題なのは私の認識で、カレーのときだけは『芋』といわれるとジャガイモを想定して買い物ができるので、それは夫を大いに混乱させた。


 結局、芋にもサツマイモとジャガイモ以外の種類もあるので、あらかじめ品種名まで伝えて買いものを頼むというルールで我が家の芋戦争は決着した。

 だが、結局めんどくさいので、我が家にはジャガイモが箱で常備され、サツマイモは乾燥芋という加工食品の形で冷蔵庫に常備されている。

 無駄に頭を使わずに最初からお互い好きなものを用意しておけばよかったのだ。


 ちなみに現在、夫が好きなのはサツマイモで私が食べたいのがジャガイモである。あと、夫はフライドポテトに目がない。

 目がないと言えば、ジャガイモの芽には毒があることが有名だが、サツマイモの芽は見たことがあるだろうか。あれは出始めたときは結構グロテスクだ。正直、宇宙広しと言えどもあれほど美味しいのに、芽が気持ちわるい植物は他にはないと思う。

 ただ、十分に育ち始めると、その芽がすっとのびて緑の葉を傘のように広げる様はなかなか涼し気で悪くはない。

 ぜひとも何か和を感じる平たく縁のある皿に水をはり、その上に飾ってみてほしい。


 まあ、さすがに芋と帰星をテーマにするなんて少々面白みに欠ける。

 平凡なのだ。

 地球出身でしかも日本人、茨城と北海道というものすごく狭い範囲で伴侶を探した私たち夫婦の物語は。


 次に帰星するときは、それぞれの実家に住む猫という人類の上位存在についてのエッセイでも書いてみようかと思った。




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ご当地における芋問題 華川とうふ @hayakawa5

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