第7話 英雄の紋章

 通路を歩いて十数分。

楓と共に、俺達は封印室と呼ばれる通路を歩いていた。所々に光る不気味な看板をよそ目に、警戒している。メリネアは、探索魔法を発動しいつでも戦闘できるように準備してあった。


「あっ、さっき戦った魔物って」

「ドレットレックス、昔ここにいたペットみたいなの。人々が飼いならしていたんだけど。時代の流れで、凶暴化しこうなったんだね…」

「時が過ぎれば、その獣もその時代に応じた進化を遂げるか」

「うん…、ブラストそういう事」


 (進化を続けた魔物は、環境に適した狩りの姿となり人々を襲うか)

 そう思っていると、メープルは同じ女子仲間のメレリアと話し始めた。

 名前にメのつながりがあるが、ここで触れてはいけないような気がするので触れないでおこう。


「あっ、そういえばこの場所とってもお洒落な洋服屋とかあったの」

「うん、中央のガラス内部に建物があってそこに無人で販売してる場所があったんだ。今着てる服もそうだよ」

「へえ、やっぱり服は買える場所があるといいよね」


という風に男子勢には分からない会話をしているので少しペースを落とし後方にいるブラストに合流する事にした。ブラストは少し悩んでいる様子だったので声をかけようと思ったが向こうから掛かってきた。


「ああ、アーシュ。こっちに来たか。で、彼女におかしな点は? 」

「全くないといったら無い」

「だよな。そこら辺にいる普通の女の子。普通に接するか」

「それがいいよ」


 そうこう話してるうちに、扉へと辿り着く。

黒髪を揺らして話した。


「ここが私が眠っていた場所。案内するね」


彼女が、手を扉にかざすと彼女自身の手に紋章が浮かび上がる。

(世界樹の形をしているな)ウイーンという謎の光が彼女の紋章を読み取ると扉が開いた。


「何だ、その紋章」

「あっこれ…。えっと、それは後で説明するね」


 という事になり部屋の中に入ることに。

中央に、俺達が眠ってたカプセルとは違うものがあった、

床には謎の液体が零れたものがある。


「この部屋で私は目を覚ましたんだ」

「そっか…」

「俺達に見せたい文章って? 」


と聞くとメープルが、中央の硝子周辺に近づきちょっとした何かを触り始めた。恐らく、端末と呼ばれるものだろう。すると不思議な文字列が浮かび上がる。そして下には特徴的な絵が浮かぶ。様々な形の紋章が多い。世界樹が描かれたもの、魔物が描かれたものなど様々ある。


「この文章読める? 太古の人達の文章を写し取ったものなんだけど」

「ちょっと待ってね」


(これは、古代守人系列の形象文字ではなく普通の文章だな)

静かに、1つ1つの文字を確認し文字と照らし合わせていくととある文章が浮かび上がる。浮かび上がった文字列を、読み上げる。


「こう書かれてあるね。『紋章とは…太古より、英雄の強さになるとも呼ばれるモノの1つ。己と因縁深い何かを倒すことにより腕に紋章が浮かび上がる。世界樹毎に、その紋章の力を持つ存在がいる。その存在を淘汰し倒した時、世界樹は汝に力を貸すだろう。この奥にも存在しているので、強さを求めるなら挑め』って」

「ありがと」

「こいつ、古代文字に関しての知識はずば抜けてるんだよな」


(余計なお世話だよ)

メリネアは目を瞑ると頷き


「確かに、この奥の扉を開けて暫く言ったところに鎮座する反応がある。どうする。アーシュ」


 どうしようかと思ったが。

(この奥か…。眠りし獣を討伐せよか)

自然と足が扉の奥へ向かい


「呼ばれてるんだよな。奥の魔物にな」

「魔物が呼んでいるか…。じゃ、この魔物はアーシュとつながるために…。じゃあ行かなきゃね」

「どうして…強力な敵なんだよね…、前みたいにならないの? 」


 とメリネアが心配そうに聞くとメープルはこう答えた。


「私も昔何処かで呼ばれて向かった場所でこの紋章を授かった」

「それが今回も同じ場合とは限らないでしょ」

「今回行かなくても何度もシツコク呼んでくるから」

「そうなんだ」


(確かに…、夢で言われたって事は相当待ってたんだろうしな。とりあえず向かうか)扉を開き奥へと向かう。ブラストは、地面に座っていたが立ち上がり。


「さてと、どんな強敵がいても倒してやるからな」


と扉を抜けて奥へと進む。

メレリアは、目を瞑り白銀の杖を構え探知魔法を発動した後向かい。

最後に1人残ったメープルは、自分のいたカプセルを見て


「力を得た私を封印して…。あなた達は…、一体何を世界樹アウシュハーリアに|行ったの…」


とつぶやき出ていった。



 


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