第3話 『ウラフェルカムラ』にて

 「戻ったよー」

 「ただいまっすー」

 「正式に冒険者になりました」


 と俺達は三者三様に戻ってくると。

 謎の種族がいた、その種族は背が小さく胸はでかい。

 あれハーヴィヌという小人族と人間のハーフっぽいな……。

 服としては珍しく燃えない布製なのか、巨大なバックを背負っている商人っぽい感じである。

 

 その子は、ヴァレッサと会話していた。

 ……巨乳というよりはちきれんほどの種族は……


「まあ、そういうわけなんで……」

「分かりました。この近くの店買い取って商店開いておきますねえ」

「お願いね。ナーシャ」

「はい、ヴァレッサさんでは……」


ナーシャと名乗る子と、ヴァレッサ。

ヴァレッサはこっちに気付くとナーシャの肩を掴み反対向きにさせて。


「ほら、帰ってきたよ。正式な冒険者たちだ」

「……ふむふむ。なかなか見どころがありそうな人たちですね」


ナーシャとヴァレッサはお互いに笑いながらこちらを見つめ、


「初めましてお三方。私はナーシャ、有名なアルベルス商店アウシュハーリア店主です。どうぞご贔屓に」

「あっ、どうも……」


(不思議性能だけどアルベルス商店って、各地の世界樹で色々なものを手掛ける場所だったような気がするな。大体鍛冶師がともに……いたはず)

ナーシャと名乗った小さな少女は、すっと横を通り抜けた後に


「なるほど。では、彼らと専属契約を結んでいたのでしたら必然的にも決定ですね」

「つーっても、鍛冶師の影も形も見えないが」


とブラストが言った直後、何処かにポワーンとゲートが開き褐色の肌に鍛冶師特有の汚れているような汚れていない服を纏い、手にハンマーを構えた少年が出てきた。その少年は、若い感じでありながら同時貫禄のある者だった。


「鍛冶師の影がないといわれてきた」

「やあ、キュヌ。お前が、こっちに顔を出すって珍しいじゃない」

「ふん……」


ナーシャはキュヌの肩を掴もうとするが、キュヌはナーシャを払いコホンとした後、


「アルベルス商店ナーシャと共にいるキュヌだ。よろしく頼む。お前らも入れるように次元に許可したから素材を使って武器を作ってほしい場合は来い。無料でしてやる」

「えっ……」


と俺達が啞然しているとキュヌは、かっこいい台詞だといわんばかりに、


「俺はナーシャに世話になっているからな。それの縁だ」


と告げナーシャは、恥かしそうな眼付きでキュヌを見つめる。

(何だかほほえましい光景だな)


「……さて、今日こそ私と」

「それは結構では失礼。武器作成してほしい時があれば来てくれ」


と、キュヌは次元の裂け目を通って消えていった。

(あれあの2人…もしや…いや気のせいだろう)

ナーシャはお辞儀をしたのち、


「では失礼しますね」

「いいさ、隣の土地買ってすぐに来るんだよ」

「はい、では」


とナーシャは、宿屋の入口を通り出ていくのであった。

ヴァレッサは、ナーシャを見送った後こちらを見つめ、


「報告を聞く間もないようだね。では、今日は祝杯といこうではないか。風呂入って着替えてきなよ」


といって、調理場へと赴く。ヴァレッサ俺達はその場できょとんとし、一部始終を眺めるにすぎず、


「色々決まったな」

「そうだね、一応ゆっくり休憩して明日に備えよう」

「うん、……ナーシャさん可愛かった」


ブラストは、落ち着いた様子でメリネアは、少し女性のナーシャに気が惹かれたようだ。(これで、何の縁だか総てが決まったな。明日は、古代文明のある遺跡の探索だ。気合を入れないとな)


 鞄を地面に置き売り出す素材を決めた後、商店が開けば売りに行こうという事にした。そして、その日は盛大に祝勝会が開かれ。

わいわい盛り上がったのは言うまでもない。


……


 アーシュは、初日の祝勝会を終えた後1人自分の部屋に戻り本を読んでいた。アウシュハーリアに関する本として、ミズガルズでいただいた本。

(確か、第1階層に関しての部分があったんだよな……)


ページをめくっていくと、第1階層について説明があったのでそれを読むことにした。冒険譚というより、叡智の樹ミズガルズ自身が書いた書物なのだろうと感じたアーシュは、第1階層 緑溢翠樹海えんいつひすいじゅかいにある古代文字を分析した。

『第1階層は、1—6階まである階層である。ここの階層には、緑あふれた階層である。古代文明の痕跡もちらほら見えるがここではかすれた文字しかわからずいつどこで生まれたのかは定かではない……』


というものが古代文字で記されていた。

(何だか、ミズガルズ自身知らないことが多いからこの本を託した。それにこの本から、ほんのりミズガルズの樹の香りがするのは……。気にすることはないか。鞄に入るし)そして彼は本を机の上において眠りについた。




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