第9話 パーティ結成
ヴァレッサが帰ってきた。
扉を開けてこちらを見つめると、
「おっと、御目覚めかな。パーティ結成祝い。ドーンとやろうじゃねえか。明日冒険に出るんだろ? ここで、英気を養いな」
そこにカムラが、二階から降りてきた。
この空間が謎の感じだったのかただ場の雰囲気を壊したくなかったのか。
ヴァレッサが帰ってきたころを見計らって来たんかは分からないけど。
「こいつら未成年だから、まだ酒は早い」
「別に問題はないさ。迷宮料理のあれの在庫あるだろ」
「了解、持ってくる」
カムラは、食物庫がある地下へと降りていった。
ブラストがいつの間にか風呂へ入りそののち上がる。
そののち入れ替わるように彼も風呂に入り、そしてメリネアも風呂に入った。風呂はとても広く1人でゆっくりと過ごすことが出来た。
因みに、風呂の湯で体を洗い入るという感じだな。
その後、だぼだぼの部屋着に着替え、荷物をウラシュカムラ2階へ上がる。
1日で仕上げたというカムラの渾身の部屋はというと…。タンスや広々としたベッドに机、そして椅子があり。外が寒くなれば暖かく熱くなれば涼しくなるという環境にやさしい素材がここでは使われている。
ミズガルズの質素な部屋より豪華で…ここが、宿屋だという事を忘れさせてくれる程だった。どうやら、ここの宿屋は20名ほどまでなら入れれることが出来るらしい。
「お風呂奇麗……よかった」
メリネアの服装は、ふかふかのパジャマというような感じであった。
メリネアの体のバランスがよく加えて胸が思った以上にあり……、ブラストはまた鼻血が出そうになったが目をそらせることで収まった。
(当初予定していた人材集めが1日で終わったし、専属宿屋もあってだいぶ得してるね……。後はギルド名考えないとね)
ブラストとアーシュは拳をぶつけ合い、よしとしたうえでメリネアの方へ顔を向けつつ、
「メリネア、さっそく明日から迷宮に入るけど大丈夫? 」
と聞くとメリネアは頷く。
「うん、大丈夫。ここに来たのに世界樹に入らないのは何だか嫌だし」
「そっか」
と答えると、メリネアは少しやる気を見せたのか…。
「亡くなった者達に対して、少しでも頑張ってるよって見せないと」
「無理はするなよ」
「うん」
そこから、色々話が進む。ここの街の景色や、どういう店がいいのか。
メリネアは色々なものに興味があるようで根掘り葉掘り聞いてきた。
そして、月が上り暫くした後
ヴァレッサが、料理を携え持って来た。
1つは黄色のジュースのようなものでもう1つは、巨大な兜に色々な具材が入った鍋であった。そして、カムラが細長いパンを持ってくる。
「今日のジュースは、迷宮林檎のカクテルってやつだ。林檎をふんだんに刻んだことでMP消費率を軽めにできる。で、次にメインは、鎧兜の鎧鍋だ。こいつの鎧には、体力スタミナパワーなどバランスよく強化する成分がある。様々な具材を入れることでバランスよくしてみた。まあといっても、この街で売られている野菜を入れ肉を入れただけだが。で、このパンは自然治癒の力を速めてくれる優れものだ。分かったか? 」
「料理の説明どうも」
自分自身メモをする。料理の見た目から、何もかもをMPを消費して。
ノートに記述を終えると、手を合わせ食べる事になった。
カムラが全員に飲み物を入れた後、
「じゃあ、パーティ結成といきまして」
「「「乾杯」」」
とパーティが始まった。
そして、食べ始めると総てがうまかった。
(鍋の中に鶏肉が入ってるな。この鶏肉食べたことないぞ)
「あああ、やべえ。このカクテル飲んでも飲んでも底が見えねえ」
「あっ、カクテルは対象者の喉が潤いつくすまであり続けるものなんだ。飲み続けると酔うっておい…」
「ああ、うめええええ。もっとのみてえ」
と説明を聞かないブラストはさっそくくらくらしていた。
カムラは頭を押さえぼそぼそと話し始める1人反省会を始めたようだ。
ヴァレッサは、豪快に食事に食らいついていた。
「自分で作る料理に称賛ってのもあれだが、やっぱりうまいねえ。メリネアは、顔で幸せを表現してるな」
メリネアの顔は、ほほがとろけるような感じで幸せを感じている。
ヴァレッサは、こちらを見つめ。
「さて、明日の朝から出かけるんだろならたらふく食べて寝な」
「残さず食べきります」
「そうだ、食べ残さないでな」
暫くしたのち、数多くあった料理はすべてなくなり食べ終えた。
(ここまで量があると食べれないと思ったが案外行けたな)
カムラは、ある程度食べ終えたところで先に立ち上がり。
「流石に眠いから寝るわ」
「……そういや今日も朝早かったね。おつかれさんおやすみ」
「ああ、おやすみ」
ヴァレッサは、手を合わせた後立ち上がり。
「消化のいいお水だ飲んで、部屋に戻って寝なよ」
とヴァレッサは、アーシュ、ブラスト、メリネアの前にお水を注いだのち、
食器を持ち上げもっていく。
ブラストは、お水を飲んだ後。
「じゃあ、明日に備えて寝るわ」
「おやすみ」
「……zzz」
メリネアは既にねていたようだ。
幸せそうな顔で寝ている。
ヴァレッサが、ちらっと顔を見せた後。
「この子はうちが持っていくから先に寝な」
「お願いします」
という事で彼女をヴァネッサに預け、自分の部屋へと戻った。
そこで、ウラスから預かった本を見つめる。
それは古びた本だが、さらさらとみると階層についての事や。
色々な事柄が記されていた。殆ど以上、古代文字で記されている。
仕方ないので、概要の部分だけ分析した。
『アウシュハーリア…これは、世界樹やすべての者さえ知らなかった世界樹。この世界樹には、あらゆる伝承の裏や色々なものが隠されている』
(あらゆる伝承の裏…、なんだかとんでもない世界樹かもしれないな)
推測が尽きないが、これ以上考察していると明日の探索に支障をきたすかもしれない。そう思ったときに瞼が重くなってきたのでその日は寝ることにした。
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