最期の缶詰

夕日ゆうや

ゲームセンターは面白いぜ!

 俺と花子はゲームセンターに訪れていた。

 様々なゲームがそろっており、その筐体は俺たちを迎え入れているかのようだった。

 リズムゲームや格闘ゲームを遊び尽くし、帰ろうと入り口に向かっていくと、花子が目を輝かせてクレーンゲームに目を引かれる。

「これ。カニ缶が置いてあるよ! 100円でカニ缶!」

「よし! やってやるよ」

 ここは男の意地を見せるとき。

 そう思い、クレーンを動かす。

 が、うまくとれずにすでに1000円を溶かした。

 手前の生クリームスプレー缶ならとれそうなのだけど……。

 それにしてももう戻れはしない。

 俺は最期のコインを投入し、クレーンを動かす。

 このいちゲームに全てを賭ける。命さえも。

 クレーンの先に引っかけて取り出し口に落とす!

 ようやく落ちてきたカニ缶に、俺も花子も喜ぶ。

 そうして家に帰ると、荷物が届いていた。

「なんだろ?」

「北海道の兄ちゃんからだ!」

 花子は嬉しそうにその箱を開けてみる。

 カニ缶がいっぱい入っていた。


「Oh……」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

最期の缶詰 夕日ゆうや @PT03wing

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ