第5話 太陽神、見ゆる



『やあ。こんにちは』

「……誰?」


 ガチで誰?


『初めまして。僕は太陽神だよ』

「へえ〜……へっ?」


 なんて言ったこの人?

 すると、目に前にいる青年は微笑しながら言った。


『疑問に思うのもしょうがないね。まあでも、とりあえず話を聞いてくれないかな?』


 ——パチンッ。


 彼が指を鳴らしたと思ったら、突然何も無い空間からテーブルとイスが出てきた。


「…!(どうやってやった?…魔術か?)」

『うーん。ちょっと違うかな?』

「なッ!」


 ……心を読まれている?


 彼は申し訳なさそうに言った。


『ごめんね。勝手に心を読んじゃって。でも本当に話を聞いて欲しいんだ』

「……」


 俺はイスに座る。


『ありがとう。で、もう一回言うけど僕はこの世界の太陽神。』

「そうですか…」

『やけに冷静だね?』

「現実味がないからですからかね…」

『そーだよねえ〜』


 なんかこの神のほほんとしてるな……


 そう思ったら、目の前の神は苦笑いしていた。

 ……本当に心が読めるのか。


「あの、質問していいですか」

『ああ、良いよ。急に呼んだのはこっちだしね』

「ここ何処ですか?さっき俺は教会に居たはずなんですが」

『ここは神界だよ。僕が君をここに呼んだんだ。……時間の流れは止まっているから安心して』


 また心読まれた……


「はあ……。で、話って何ですか?」

『聞いてくれるのかい?』

「一応です、一応」

『それでも良いよ』


 この神は話があると言っているんだから、とりあえず聞いてみる。




『話っていうのはね、アルス・ルクサス君、僕の使徒にならない?』




「……何故でしょうか」


 太陽神は続ける。


『僕の力は最近弱まってるんだ。だからだよ』

「それとこれはどんな関係が?」

『使徒が力をつけることで僕達神はより強くなるんだ。で、僕が君を選んだって言うわけ』


 ……それって俺じゃなくても良くない?


 そう思うと、太陽神はうなずきながら答えた。


『確かにそうだね。だけど、んだ』

「……この世界の?」

『そう。でも君は異世界から来ただろう?』

「はい」

からね、それで君を選んだんだ』


 


 そんな俺の疑問に答えるように太陽神は説明し始めた。


『うん。魂っていうのはさ、その魂がいた世界のルールに縛られているんだ。普通、別の世界に転生するのなら転生先の世界のルールにのっとるようになるんだけど、君のように前世の記憶がある者の魂は元々いた世界のルールとこの世界のルールが打ち消しあったり、絡み合って凄くな感じになるんだよ』


 ……なるほど?


『その影響でがあるから、神にとっては干渉しやすいってこと』


 魂の緩み、か……。何だか怖いな。


 すると、太陽神は俺の不安を払うようにいった。


『大丈夫。神ぐらいにならないと分からないぐらいの緩みだから、そこまで心配しなくて良いよ』




 正直言って少しこの神の話は信じられないが、そこまで俺に不利益がある訳じゃないしな……


 ……一旦話をしっかり聞いてみるか


『お、興味持ってくれたかな?』

「使徒にはなりますが、その代わりに何かください」


 さあ、どうなる…?少し図々しかった?


『良いよ良いよ!ありがとう!ほんと助かるよ!』


 すんなり通った。まじか…。


『じゃあ〜、何あげようかな…。そうだ!』


 そんな声を上げると、太陽神は自分の身体から光の球を出した。

 少し暖かい気がする…。正に太陽だと思った。


『君に【太陽の神眼】と【太陽】の能力をあげよう。どうかな?』

「何です、それは?」


『【太陽の神眼】って言うのは、眼だよ。特殊な神の目。遠くを壁なんかも無視して視ることができたり、自分の能力の底上げだったり、色々とできる。それを君の両目にあげるよ。』


 エグいな……。もう十分なくらいだ。


「……なるほど。それでは、【太陽】の能力と言うのは?」


『文字通り太陽を扱うことができるようになるんだ。ほら、こうやって——』


 そこに現れたのは太陽だった。とてつもないほどに熱く、周りの物を全て溶かしてしまうような太陽、そのものだった。


『人間なら凄いと思うよね。でも、扱いには十分気を付けてね?下手に使うと周りの物とか全部溶けちゃうし、使うときも見極めなきゃいけないから』


「凄いですね…」


 まさしく神の力。万事を司る。畏怖を抱くと共に尊敬を抱くものだ。


 ここは素直に貰おう。内容は怪しいが、貰っておいて損は無い、と思う。


「では、それらを貰います」

『うん。良かった。ほいっと』


 太陽神は気楽な感じで光の球を俺に取り込まさせた。


「おお、暖かい…」

『それじゃ、それ使って頑張って強くなってね〜』

「えっ——」


 俺は来た時と同じように光に呑まれた。


————

——————

————————


 気が付くと、俺は教会の中に戻っていた。


「アルスちゃん!」「おにいしゃま!」「アルス!!」


 母上にアイと父上が声を上げて駆け寄って来る。

 そしてぎゅっと強く抱きしめられた。


「アルスちゃ〜ん!大丈夫?」

「あ、はい。何とも無いみたいです」

「良かったぁ!」


 そう言ってより強く抱きしめようとする母上。


 というか、なんだあの神!身勝手すぎだろ!一瞬で送り返されたぞ!


 より不信感が強まる俺だが、その前に…


「は…母上、苦しいです。」

「あら。ごめんなさい!」


 母上のスタイルの良い身体とリンゴサイズの胸部装甲が合わさって常人にはとてつもない破壊力だと思うが、母上の子供である俺にそんな邪な感情は無い。ただただ苦しいのだ。


「アルス、怪我はないな!?よかっ……んん?」

「どうしましたか、父上?」

「アルス…その目の紋章は…まさか神眼か!?それも両目に!」


 ——ザワッ。


 周りの観衆がとても驚いている。泣き始める人だっている。

 そう言えばあの神が何か言ってたな。やっぱり凄いことなのかな?




「アルス。よく聞くんだ。神眼を持った者が出るのは、この国で実に二百二十六年ぶりなんだ」




  んん??

 今とんでもないことを聞いたぞ??



————————————————————

あとがき


長らくお待たせしまして申し訳御座いません。これから再開しようと思いますのでよろしくお願いします。今回のお話はここで区切らせてもらいます。特に意味は有りません!


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