穴の3 あっつ

トーストの焦げを包丁の背でシンクに落としながら、僕は呆けた顔でテレビを眺めていた。


「今日からお天気を紹介してくれる新しい仲間を紹介します!」


お天気お姉さんがそう言って引っ張り出してきたのは地球儀のオバケだった。


「はい!新しい仲間のブルーくんでーす!」


地球儀のオバケは画面の中で意気揚々と手を振っていた。


僕は思わず胸に空いた穴に視線を落とした。


相変わらず穴は静かにそこに空いている。


僕はマルハゲになったトーストを咥えて机に座り、コーヒーメーカーのガラスポットに手を伸ばした。


マグカップにコーヒーを注ぎ、ミルクをいれようと冷蔵庫に振り返った時だった。



「ん…? えっ…!? あ、熱っつい!!」


僕は突然胸のあたりを襲った熱さに悶絶しながらゴリラみたいに胸を何度も打ち叩いた。


胸に空いた青い穴はマグカップのコーヒーを一気飲みして満足したのか派手にゲップを吐き出した。


「あっつ…」


もう大して熱くはなかったが僕は腰に手を当ててそうつぶやき、呆然と穴を見つめた。

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