第2話 主人公だから

「たくさん買っちゃっいました!」


3人の真ん中を歩くクレアがが嬉しそうに両手に服の入った袋を眺めている。



「でもチェーン店だしクレアの国にも同じのあったんじゃないの?」


「お恥ずかしながら、こうゆうタイプのお店には入った事がなくて・・・」


「こうゆうタイプ?」


「えっと」


「つまり富裕層向けの服屋しか入った事がないんだろ」


「どうゆう事?」


「ブランド物の服はだいたい特徴が似てくるし、陳列されてる量が少ないから

ウニクロの服が珍しかったって事じゃないのか?」


「その通りです、よく分かりましたね」


「クレアもそんなこと言いにくいだろうし、察してくれよ」


「憐れむよな目を向けないでよ、普通分かんないって!」


服の買い物も終わり3人仲良く街を歩く。

出来ればクレアの買物袋も持ってあげて好感度を上げたかったが

あれやこれやと女性二人に選んで貰ったおかげで自分の分だけで結構な量になってしまった。


「次はどこ行こうか、クレアさんは特に行きたいところとかは無かったんだっけか?」


「そうですね、ただ周囲の目を気にせず自由に遊べれば良かったので」


「ならこの通りを歩きながら遊んで行こうか、ゲーセンとか食べ物とか雑貨とか何でもあるし」


「記憶に残る最高の休日をするって言ってたのに、行き当たりばったりね」


「でも私は今こうして3人で歩いてるだけでも楽しいですよ」


「クレアはほんといい子!」

「食べたい物とかやりたい事があったら何でも私に言いなさいね

何でもしてあげるから」


「あ、じゃあ私あれやってみたいです!」


「クレーンゲームね、さっそく行きましょ」


二人して小走りで走って行くのを後ろからついていく。

俺いま凄い青春してるな。


「この箱に入ってるやつをこのアームで取るの、何か欲しいのある?」


「じゃあこのぬいぐるみが欲しいです」


指さしたのを見ると、あるゲームのキャラクターだった。

そのゲームを知らなくても確かにキャラクターとしての出来は高い。


「じゃあお手本として光やってよ」


「俺かよ、あんまりやった事ないんだけどな」


財布を取り出し100円を入れると軽快な音楽が流れる。


「えっとな、ここを押すとアームが左に動いてこっちを押すと奥に行く」


ボタンを離すとアームが伸びて人形の中央を掴んで持ち上がり、そのまま

落し口まで運んできて人形を離した。

たいがい持ち上げた反動とかで落ちるのが多いのだが、この台は簡単だった。



「凄い、これでゲットですね!」


景品取り出し口から人形を渡す。


「はいこれ」


キョトンとした顔で見つめてくる。


「いいんですか?」


「元々そのつもりだったし」


「では頂きます」


無邪気な子供のように凄く嬉しそうな表情を浮かべる。

カワイイ(語彙力消失)


「じゃあ他にも面白そうなのないか見に行こうか」


「はい、凄く楽しみです!」


店内に入るとたくさんのクレーンゲームが並べられていた。


「いろんな物が景品になってるんですね」


「そうなの、だからついつやってちゃうのよね」


「なんで皆さん買わないでクレーンゲームでとるんですか?」


「確かにそうね、買うと高いってなるけど100円200円をなら試しにってなるし、やるのも楽しいの!」


「確かに楽しそうですね、私これやってみたいです」


見つけたのはでっかいお菓子が置かれた台だ。

確かにこんなに大きいと欲しくなるよな。


「はいお金」


財布から手渡そうとする。


「ありがとうございます、後で必ず返しますので」


「私もちょーだい」


「お前は金持ってるだろ」


軽く頭を叩く。


「光が私をいじめる~」


「人聞きが悪い事を言わないでくれ、美人ファーストこれが俺のモットーだ」


「うわ、最低」


クレアがお金を入れるといつもの軽快な音楽が流れ始める。


「えっとまずはこっちのボタンですね、動きました!」


「止まって欲しい所で離して」


「はい!」


「いい感じね、今度は奥にいくから横からのぞきながらやってみて」


「こうですか?」


「そうそう、センスあるわ」


「始めてでこれは上手いな」


アームは景品の真上に来てそのまま降りてきて景品をつかむが。


そのままアームが景品を持ち上げられきれず途中で離してしまいう。


「滑って落ちちゃいました」


ションボリと肩を落とす。


「こうゆうもんだよ、それにほら、今ので少しお菓子が出口に近づいたろ?」


「確かにそうですね」


「よしもう一回だ」


お金を入れる。


「頑張ります!」


結局その後は千円くらいかけて目当ての物を落した、この落とした瞬間の喜びはなかなかのものだったようでなかなかのはしゃぎっぷりだ。


その次は、レースゲームでは悲鳴を上げながら走り、しかもその子が可愛いときたからギャラリーがすごく集まって恥ずかしかった。


春香とクレアがシューティングゲームをやった時は怖がりながらもどんどん敵を倒していくクレアが面白くて仕方ないし、バスケットボールのゲームをやれば、春香に事前に投げ方を教わってたはずなのにボールが他のお客さんの所に飛んでいき周りのお客さんに謝り倒した。

ほんとに可愛いい普通の女の子だ。


「あれは二度とやらないです」


「えーあんなに面白かったのに」


「それは私の投げたのが他の人の方に飛んでったからですよね」


「そうだけどあの人も笑って許してくれたじゃん、もっかいやろうよ」


「もうやりません」


「ごめんって、怒んないでよ~」


分かり易く拗ねるクレアに抱きつきながら春香が謝る、その光景がすごく自然でいつもの光景みたいでよく思えた。


「ほら、じゃあプリクラ撮ろうよ今日の記念ね」


「プリクラって何です?」


「写真かな、それもすっごく可愛く撮れちゃうの」


「日本にはそんな凄いものが・・・」


「ほら光も行こう」


「俺はいいよ恥ずかしいし」


「その出来れば光さんも一緒に写ってくれると嬉しいです」


「だってよほら」


クレアからのお願いにケツイがみなぎった。


「なら仕方ないな」


「今日はどのれがいいかな?」


春香が何個か見て回る。


「どれも一緒じゃないのか?」


「それがねー違うの、盛り方とかメイクとか肌の感じとか!」


「いやいや、誤差でしょ」


「あんたそれロボット物で一括りに語られるのといっしょの事してるわよ」


「非礼の数々をお詫びしたい」


「分かればいいのよ、じゃあこれにしましょうか」


慣れた感じで入って行く春香に対して、俺とクレアはオドオドしながら付いて行った。




「にしても光って昔から写真写り悪いわよね」


出来上がったプリクラをそれぞれ見ながら近くのカフェで休憩を取っている。

結局あの後カラオケでクレアの母国語大熱唱を聞いて、ショッピングモールで

で宝石やアクセサリーなんかを見て回って、かなりかなりはしゃいで回った。

周りには会社終わりの人達でにぎわい始め、嫌でも時間の流れを感じてしまう。


「撮られるの慣れてなくて変に力んじゃうんだよ、にしたってクレアは自然体だな」


「写真は良く撮る機会が多いので」


「凄いな、俺なんて卒業式の時くらいしか自分の写真取らないぞ」


「それは少し少ないかもですね」


クスリと笑みを浮かべるその動作にも何となく上品さがが感じられる。

クレアはいったい何者なんだろうか全く想像がつかない。


「そうよね、いつも写真撮ろうするたびに逃げちゃうのよ」


「だって恥ずかしいじゃん」


「別に恥ずかしい顔してないんだから堂々としてなさいよ」


「またけなしてくると思ったら優しいじゃん、なに俺のこと好きなの?」


「バカじゃないの」


そう言うと頼んでいたコーヒーに口をつけ、顔を隠す。


「そこまで露骨に嫌がんなくてもいいじゃん、傷つくわ」


「デリカシーがないからよ、クレアは好きな人とかいないの」


「好きな人はいましたね、今となっては叶わない恋ですが」


少し恥ずかしそうに話すのを、いいこと聞いたとばかりに春香が満面の笑みを浮かべる。


「ドラマみたいでいいわねそれ」


「青春だな」


しかしクレアの可愛さを持ってしても恋に落ちないとは、相手はどんな変わり者か

異常者なのだろうか。

一般的な男子なら一目惚れ間違い無しのレベルだろうに、あれだよよくアニメとかで

毎日告白されて大変とかのやつだよ、で絶対に告白してもオッケー貰えなさそうなやつがオッケー貰うやつ。

そしてその時の主人公はぜひとも俺でお願いしたい。


「お二人はそうゆう経験はないんですか?」


二人して一気に顔が暗くなる。


「ないわね」


「ないな」


一方的な実らない恋の経験しかない。


「えっと、今この三人で話している空間も青春だと思いますよ」


ポツリと言葉をこぼした。


「私こうやって遊んで何てことない時間を過ごすのがあこがれだったんです

・・・今日だけでもこんな日が過ごせて良かったです」


「何言ってるのよ、これからもメールと電話さえくれれば私と光が飛んで駆けつけるよ、私達もう友達でしょ?」


「春香っ」


ついにこらえきれなくなりその顔から涙がこぼれた。


「私、もっと二人といたい」


「私もよ」


クレアの顔を包み込むように


多分きっと彼女とはもう簡単に会えないのだろう。

今日の様子や発言から考えるに、クレアはそれなりの立場のある人間でそれは

簡単に捨てられないのだろう。


上手くいくかは分からない、ただやってみる価値はあると思う。


「クレアさん、俺がその願いを叶えたいから協力して欲しい」


逃げるのは俺の得意分野なんだ。

頭の中のシナリオを、仮定を、仮説を俺は二人に話し始めた。
































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