『ぼく』と『おねえちゃん』

 異臭漂う狭い部屋の中、『おねえちゃん』の腕の中でまどろむ『ぼく』のお話。

 因習ものホラーの味わいが魅力の、王道おねショタ物語です。

 最高でした。この『おねえちゃん』の広島弁がもう本当に……!
 語りかける言葉の雰囲気や、細かな仕草や所作のひとつひとつがとにかく魅力的で、心の芯を蕩かされるような甘い読み心地がただただ凶悪でした。
 なんてものを書くんだ……恐ろしい……。

 あらすじにもある通り、EDMとかラップとか、およそ古い因習のイメージにはそぐわない要素が登場します。
 それが俗に〝トンチキ〟と呼ばれるおかしさを醸しているのですけれど、しかし決してそれらだけに頼らない内容の濃さが本作最大の魅力。

 というか、笑いどころであるはずのそれらをしっかり本筋に取り込んでしまっている、この見事なまとまりの良さが心地よくて好きです。

 ともあれ、魅力はやはり『おねえさん』。もう本当に好き……。
 王道にして覇道、圧倒的な火力でこちらの情操を焼き尽くす、最高のおねショタ作品でした。