45. 頑張れお姉ちゃん?
45. 頑張れお姉ちゃん?
そして翌日。オレはレイアと共に『幽霊船』が目撃されている王都の南の海岸に向かうことにする。その海岸は王都から大体1時間ほどで着く場所にあるので歩いて向かうことにした。
王都の街並みを歩くことは別に珍しくないのだが、レイアとこうして2人で歩くのは初めてだ。せっかくだから色々聞いておこうかな。こんな機会あまりないしな。
「なぁレイア。ちょっといいかな?」
「はい。なんでしょうかマスターさん」
「レイアは休みの日何してるんだ?」
「私ですか?家にいる時は物語の本を読んでますよ。お姉ちゃんみたいな難しい本は読めないですけど。街に行くときはお買い物したりしてます。この前もお姉ちゃんと一緒にお出掛けして楽しかったです」
レイアは本当にジェシカさんが好きなんだな。仲良くしてるようで良かった。
「あの。マスターさんとこうして歩いているとカップルに見られますかね?」
「えっ!?カップル!?いや……せいぜい兄妹とかじゃないかな?」
オレは21でレイアはまだ15だ。犯罪臭しかしないので、オレは全力で否定する。するとレイアは少し戸惑った感じで話し始める。
「え……それってお姉ちゃんのこと?」
「いやいやいや。違うぞ?オレは別にレイアのお兄さんになりたいわけじゃなくてだな。それにジェシカさんはオレのこと別に好きじゃないだろうし」
「好きかは分かりませんけど、お姉ちゃんはマスターさんのこと気に入ってると思いますよ?」
「えっ?」
まぁそれはそれで嬉しいんだけどさ。でもそういう好意は勘違いしたら痛いし、あくまでギルドの仲間として好かれてると解釈するようにしよう。
「いつも家で話してる時にマスターさんのあれがダメとかあれはいいとか楽しそうに話してますし」
「そうなのか。それは嬉しいことだな」
そんな会話をしていると、目的の海岸にたどり着く。
「あ!着きました!ここが南の海岸ですよ!わぁ~!綺麗ですね!」
オレたちの目の前に広がる海は太陽の光を浴びてキラキラと輝いている。海に来たのなんていつぶりだろうか。
「マスターさん!早速調査に行きましょう!」
「ああ。行こう」
オレたちは近くにいた漁師に話をすることにした。
「すいません。ここに『幽霊船』が出たって聞いたんですが、何か知りませんか?」
「ああ。最近よく出てるみたいだよ。でもウチらも困ってんだよ。このままだと漁にも行けねぇし」
「そうですか……ありがとうございます」
この後も色々な人に話を聞いたが特に有力な情報は得られなかった。
「今日はこれくらいにして帰ろう」
「そうですか?もっと聞き込みしたかったです」
「また明日来よう」
オレたちはそのままギルドに戻ることにする。帰り道ではレイアと他愛もない雑談をしながら帰った。そして仕事終わり、オレはギルド内の清掃をしているとジェシカさんが話しかけてくる。
「あのマスター。その……レイアと何かあった?」
「えっ?何かって何がですか?情報を集めただけですけど……?」
「いやその……」
「エミルくん。ジェシカちゃんはエミルくんがレイアちゃんといい感じになってないか心配なんですよ。お姉ちゃんとしてじゃなくて女として。いやぁジェシカちゃんは分かりやすくて面白いですよね?今日も書類のミスが目立ちましたしね!業務中もソワソワしてましたし。それなら一緒に行けばいいのに。度胸がないですよまったく。レイアちゃんのほうが度胸ありますよこれじゃ」
リリスさんがとんでもない毒舌をかましてくる。本当にリリスさんはジェシカさんのこと好きだよなぁ。
「なっ!リリスさんは黙って!私は別に……!ただ妹を心配してるだけであって……」
「はいはい。そう言うことにしておきます。まぁエミルくんもあんまり女の子の扱いには慣れてないですからね。ここはひとつ大人の魅力でリードしてあげてください。頑張れお姉ちゃん!なんて?」
「だから!違うって!」
なんかジェシカさんをからかいまくってるな。というかオレがレイアと良い感じになることはないと思うが……。だってレイアはまだ子供だしな。こうして今日は有力な情報は得られなかった。とりあえず明日の夜にでももう一度調査に行ってみるか。
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