第4話 冬

「それは、あなたが『葉っぱ』だからです」


「なぜ、葉っぱだと、せんぱいと離れないといけないの?」


「それは、私たちがそういう生き物だからです」


「そんな! 先輩と離れるのは嫌です!」


「私も、葉っぱあなたと離れるのは辛いです」


「だったら、この先もずっと、一緒にいて!!」


「ずっと同じ、ってことはないのです。何事も変わり続ける。私は、あなたとずっと一緒にいることはできません」


「……だったら……私はどうなるの? 死ぬの?」


「……」


先輩は、何も答えてくれませんでした。

やっぱりそうなんだ。

私は死ぬんだ……


すると、先輩は静かにこう言いました。


「ずっと同じ、ってことはないですよ。何事も変わり続ける。あなたは、そして、私もいつか死にます。けれど、ずっと同じってことはありません。あなたは死んだあと、大自然の中に生まれ変わります」


「本当? なら、私は先輩にまた会えるの?」


「それは私にも分かりません」


「そんな……」


「お別れの時が来ました。これまで、私は枝として、葉っぱであるあなたに水分を送ってきました。あなたは、お日様の力を使ってたくさんの養分を作ってくれました。私は、あなたが作った養分をみんなのところに運びました。だから、この木は、こうしてしっかりと生きていられるのです」


「でも、私は死んでしまう……」


「大丈夫。あなたはまた、大自然の一部として生き返ります」


「そんなの嫌だ……ずっと葉っぱでいたい。ずっと、先輩の近くにいたい」


「……ありがとう……一緒に過ごせて楽しかったですよ……」



それが、私が聞いた最後の先輩の言葉でした。

私は、先輩から離れ、ひらひらと地面に舞い降りていきました。


そこには、先に散ったたくさんの落ち葉たちがいました。

私の意識はだんだんと遠のいていきます。

上を見上げると、前に私がいた枝がお日様の光を浴びて輝いていました。


さようなら、先輩……


先輩は、私を見てにっこり微笑んでくれたような気がしました。


こうして、私は葉っぱとしての一生を終えました。


冬になりました。


私の体は、土の中に住む生き物たちが食べたそうです。

そして、私は土の中の養分という存在になりました。


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