変異性情報生命体《ライフミーム》【でんせつのぶきのでんせつ】

 今日は糞爺にやらされてる、王都の冒険者ギルドマスターの仕事をやりに来たのだが。


「ギルマスーッ‼︎お願いしますこれマジで如何にかしてください。もう威厳が欲しいとか贅沢言いませんからー‼︎」


泣くな。

ギルドの教官だろうがすかたんぽん。

この緑髪緑眼のちびはこんなのでもギルドの信頼の厚いBランク冒険者だ。頭が痛い事なので2回言った。

実際美少女なのでやたらモテる。

で、この泣き虫のあんぽんたんが困ってる原因だが、どれだ?


「そんなぁ。どれだじゃ無いですよぉ。ずっと前にウルルが相談した時にもらった奴ですー!。あのらいふ?みいむってやつ。あれの所為でウルル大変なんですよぉ。」


うるせぇ。いい歳して自分の事を名前で呼ぶのは如何なんだ貴様。

ハーフエルフだからって一定の年までの成長はヒューマンと同じのはずだろに。

にしても…ライフミーム、ライフミームねぇ。そおいや、このぼけに威厳がBランク冒険者にしては威厳が無い事を相談された時に渡したっけか。あんまりヤバいのだとユーキに怒られるからな、問題無いのだったはず。

たしかぁ、ああ、あれか【でんせつのぶきのでんせつ】よかったよかった思い出せた。


「思い出したなら如何にかしてくださいよー。これ日に日にヤバくなってるんですよっ!耐えられないですー!」


如何にかしてやりたい事は山々なんだが。


「すごくめんどくさそうですよっ!」


めんどくせぇ。

まず貴様、変異性情報生命体ライフミームが如何言う物なのか判ってるか?


「はいっ!知りません!」


ぶちのめすぞ。渡す時説明しただろうが。


「何も見えなかったのでギルマスの冗談だと思って聞き流してましたっ。」


元気いっぱいに言ってんじゃねぇよ馬鹿。

まあ見えないのは仕方ないが。

もう一回説明してやるから聞け。

変異性情報生命体ライフミームについてだが、


「ふむふむ」


あれは生きる情報その物だ。


「ふむ?どういうことです?」


正確にはとあるカテゴリー群を作ろうとした練習の副産物だ。

付与術を主体としており、調整した情報そのものに命を付与する事で生まれる。


「な?なるほど?」


あまり判って無いな…頭は悪く無いはずなんだが?それに私でも出来たくらいには簡単な理屈で成り立っている。


「いえ、なんかありえないことを聞いた気がしまして。」


気のせいだろ。

まず名前についてだが…実のところ変異性に部分に意味はない、分かりやすくする為に付けただけだ。


「ふ、ふぇぇ?」


変な鳴き声を出すな。

こいつらはその名の通り情報の生命体。

情報の持つ性質…すなわち広がると変わるを持っている。

と言っても所詮情報だからこそ限度と限界があり、生物といっても意思は無く、進化はせず成長性も低い、あくまで概念でも無いからそこまでのものでも無いそんな存在だ。

まあ余程やばいのじゃない限り情報とはいつか消えてく物だ。余程やばいのは封印処理をしている。

それに、そもそも貴様に渡したのは二番目に危険度の低いランク2、私のした定義に沿えば、村から街程度に影響を及ぼすものだ。

貴様自身が何かしなければ大きい問題が起こる事はない。


「もう、おきてるんですよー!だい・もん・だい・が!ウルルは超絶ピンチなんですー!」


叫ぶな。

でんせつのぶきのでんせつは確か…共存状態にある生命体の使用する武器と宿主に対する認識を書き換えるやつか。これの宿主の持つ武器は何故かありもしない伝説を尾鰭を付けて周りが勝手に広めていくのだ。勿論だが利点はある、この世界は意思や言葉に確かに力がある世界だ、誰かが謳った伝説が称号と言う形で力を持つ事は普通にある。良い称号だけとは限らないが。

さらにこの変異性情報生命体ライフミームは宿主にも影響を与えるのだ。例として言うならば雷を切った刀は刀としての力と雷を切れるだけの技量を持つ使用者がいたから切れたのだと。これに何の意味があるのかと言うと宿主にも高確率で称号が付く事になる。

本当に何が問題なんだ?ちょっと贅沢じゃないか貴様。


「やった覚えのない伝説が謳われる事ですよーっ!どんな反応すればいいんですかぁっ!いたたまれないですぅ。」


でも、強くなれたし他者から威厳があると見られる様になったんだろ。


「なりましたけどぉ!そもそもなんで伝説の武器に付くはずの伝説がウルルとこのちょっと質が良いだけの剣に付くんですかぁっ!」


ん?貴様少し勘違いしてるな。

変異性情報生命体ライフミームでんせつのぶきのでんせつは伝説の武器だから伝説が付くのでは無く、伝説が付いたから称号によって対象を逆説的に伝説の武器とその担い手にする変異性情報生命体ライフミームだぞ。渡したのは結構前だし武器もこいつも沢山称号がついて強くなってるだろう。

そもそも称号は基本的に本人の成した偉業であり経験値が入るからレベルも結構上がってるはずだしな。

余談ではあるが、普通謳われて称号が付く事は一つや二つならともかく沢山付く事はそうそうない。


「うぅ、じゃあどうしてとれないんですかぁ」


貴様、称号を見てみろ。


「はい?」


[でんせつ]って称号あるだろ。


「ええっと、はい」


それがでんせつのぶきのでんせつだ。


「ふぇぇ?」


貴様の魂にガッチリ食い込んでいるから、取ったら如何なっても知らんぞ。


「そんなぁ」


あいつらは基本共生対象を選ぶ。

例として言うならば、変異性情報生命体ライフミームひのきのぼうは木の棒にしか共生しない様にな。

普通は変異性情報生命体ライフミームがそんなに適合する事は無いんだがな、余程貴様との相性が良かったらしい。

…わざわざ、言う気はないのだがあの変異性情報生命体ライフミームは勘違い物見たいなのを意識して半ばネタで作ったやつだ。


そう言えば、持ってて一番困ってる称号は何なんだ?


「…何故かお姫様と謳われるせいで女性用の称号が多発したです。その所為か任意で性転換できる様に成っちゃって、その状態なら妊娠できるし子供も産めるらしいですぅ。」


…そう言えば、言ってなかったがこいつは…男の娘だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

悪役転生者のワールドクラフト 南瓜の王冠 @pumpkinthecrown

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ