終幕


 暗い。

 辺りは闇に包まれている。

 蝋燭の火も、ほとんど消えかけている。

 一番に話を披露した一人が、口を開いた。

「実はあの話、母さんから聞いたんだ」

 残りの二人が「お母さんから?」と聞き返す。

「うん。だから、息子っていうのは、赤ん坊の頃の僕。死んだのは僕の父」

 沈黙。

 それから、二番目に話した一人が言う。

「俺の話は、B太本人から聞いた。ちなみに、助手席で寝ていたD郎ってのは、俺のこと」

 沈黙。

 最後の一人が告げる。

「やっぱりそうか。実は僕もそう。ワンピースの女の子に顔を覗き込まれていた入院患者の一人が、実は僕」

「ってことは――」

「三人とも、怪奇とかかわったことがあるってことだね」

 冷たい風がひゅうと通り抜ける。

 蝋燭の明かりがついに消えた。

「だから選ばれちゃったのかなあ」

 三人の中の誰かが言う。

 三人は、真っ暗なお堂の中にいる。

 そして、その周囲を、ずるずると何かが這っている。

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