嗜虐姫の隷人〜僕は傍若無人な悪役姫(精霊)に溺愛される〜
春町
序章 生まれ変わって、飼われて
プロローグ
奥寺幸人は病室のベッドで死を迎えようとしていた。
まだ生まれて十余年。病弱な幸人は世界を自分一人で歩くことすら出来ず、もっぱら病室の窓から外の木々を眺めるか、冒険記で広大な世界の一端を文章として取り入れる生活ばかりだった。
「神様。生まれ変わるなら強くなりたいです。そして美しい世界をこの足で歩いて行きたいです」
幸人は死の間際、神様にそう願った。
心電図の音と看護師や医師の声だけが耳に張り付く。だんだんと薄れゆく意識の中で、幸人はその命を手放したのだった。
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