第39話 行ける所まで!


よし!あのバカみたいな速度に慣れてきたぞ!

ん?どうやって慣れたかって?ふっふっふっ、答えてしんぜようじゃないか!


ズバリ!オオカミと一緒に鬼ごっこ!


マイホームタウン(いつもの森)に行けば狼なんて馬鹿みたいにいるからね!最初1つの群れだから大体5匹くらいかな?そんくらいで遊んでただけだったのになんか混ざってきたヤツらで最終的に20匹以上に増えてバチくそビビった。しかもよく分からん連携までして来るわとんでもないやつや。


「まあ、良いヤツらだったよ。多分。いや、私の成長と動画提供までしてくれたんだ!きっと良い奴に違いない!」


そもそもまあ、そんなこんなで関門ボスに再チャレンジします。


***


さあボスなんてけちょんけちょんにしてやるぜ!


作戦?後ろに回り込んでズドーンっとやりゃあ終わるんだよ!


まあクソ強炎スクロールはできるだけ使わんようにしようかな。


あれは最終兵器や。そもそも回数制限あるしね。


「よし着いた!さあ積年の恨み、今晴らさん!覚悟ー!」


卑怯?知るか!ボーッと突っ立ってんのが悪い!


「はっはー!モブ2体討ち取ったりー!」


あとはボスとモブ3匹の計4匹!さあ来いよモブ共!


「グギャァァァァァアアア!」


「おー怒ってる怒ってるっておいおいおいおい!お前ボスが先陣切ってくんじゃねー!」


子分にだけ任せっきりじゃあなくて自分も戦うとかホワイト企業かよ!子分に任せとけよ!仲間思いすぎて泣けるわ!


「はっや!いやでも私と同じくらいか?」


にしても厄介すぎる。ボス狼が正面から攻めてきて左右後ろからそれぞれ死角からのモブ狼の攻撃。

これはクソ強スクロールの出番か?

いや、相手は4匹、たったの4匹!20匹の狼と一緒にあの日夕陽に向かって駆け出したであろう思い出に比べれば大したことない!


「『炎撃』!」


「グギャ!」


「怯んだ!その隙に!睡魔流『寝掌底』ぬるい、ぬるいぞ!」


モブ1体撃破!あとボス含めて3体!


「あれ?ボスの動きが止まった?って熱!」


はあ?あいつ今口から火吐いた?もう最初のボスのレベル超えてんだろ!


「うわっ!ちょっ!タン……!」


やべぇ横からモブ狼来てやがる打開は………あ、眠らせればいいやん。


「SP5使用!『眠りの誘い』ⅹ3!」


「グ、グガァ」


「やっぱ5くらいじゃ足りないよなぁ。でもモブは寝た!つまり………『炎撃』『炎撃』。これでタイマンだ!」


「グガァァァアアアアアア!」


暴れ回っても無駄なんだよ!


「SP15使用『眠りの誘い』。睡魔流『寝掌底』!」


「…っふ。決まったぜ。……シャッオラ!勝った!勝ったー!勝ったぞー!」


あーまじで疲れた。あーまって明日バイト朝からやん。早めに寝よ。良い子はもう寝る時間やろ。時間知らんけど。


***


「さーて新マップ探検するぞ〜!」


気になってちょっとだけ調べて新しい場所は鉱山っていうのは把握済み!お宝引き当てて一攫千金や!


まあでも山と言ったら頂上だよね!という訳で登山でもやりましょうかね!


「Hi ! I'm Lisa. Nice to meet you Libra.」


!?!?!?外国語……だと…………。


まずいぞ!私は英語がものすごく出来ない!いやでも出来ないからこそ!これだけは言える!


「アイキャンノットイングリッシュ!イェア!」


「あら、そうなの?なら日本語で話しましょう。」


「そーりーって日本語喋れるんかい!」


「私は日本に良く訪れてるからね。ペラッペラよ。」


「じゃあ今は日本に来てこのゲームをやってるってこと?」


まだ海外向けに配信はされてないと思うけどどうなんだろ?


「ええ、そうね。でも私は『デバッカー』としてこのゲームを遊んでるのよ。」


「デバッカーって何?」


「簡単に言うとゲームのバグを見つけてそれを運営に報告して直してもらうっていう仕事よ。」


「ふーん。つまり運営の手先ってこと?」


「どちらかと言えばノーね。手先と言っても私はやりたいようにやるような主義だからそういった意味では手先とは言えないわね。」


「ほーん。それで私になんで話しかけてきたん?なんか悪いことした?」


「悪いことでは無いけれど少なくとも目はつけられているわよ。事前に貰った名簿ににあなたの名前があったからね。そういうのも私の仕事になってるのよ。」


「まじか!まあ悪くないならいいや。」


「私としてもイレギュラーと一緒にいる方がバグが見つかりやすいから嬉しいのよね。ちなみに今日は何しようか予定ある?もし良ければ着いていってもいいかしら?貴方のこともっと知りたいの!」


え、こわっ。急に距離詰めてくるやん。これが外国人オーラなのか………つ、強すぎる!


「ま、まあ別にいいですよ!といっても今からするの登山ですけど。」


「登山?あの目の前にある山を登るのかしら?」


「まあ穴があったら入りたいってことわざがあるように山があったら登りたいってやつもありますしね。」


「ワァオ!そんなことわざがあるなんて知らなかったわ!センキューセンキュー!それじゃあ早速行きましょー!」


「あちょ!分かった!分かったから腕引っ張んないで!一緒行くから!」


まあ1人で山登りなんて修行じみたことやるよりも複数人で一緒に居た方がいいのか?まあ動画にするならなんでもいっか!それにしてもコミュ力上がって言ってる気がする!私凄い!


***

(運営サイド)


「リサとリブラ接触したぞー」


「りょーかい。ちなみにいまなにしてんの?」


「登山。」


「そっか登山かー。1回くらい登ってみたいっすねー。ほら、山があったら登りたいって言いますし。」


「なんだそれ。」


「今俺が作ったことわざっすね。目の前に山があったら登ろうって意味!」


「ふっ。相変わらずの安直さだなトウマよ。」


「あれ?リンちゃんこんな時間に珍しいね。もしかしてイベントの内容作り終わったんすか?」


「ああ、バッチリだ。ボスに渡しておこうと思ってな。ほらこれだ。」


「おおありがとう。相変わらずとんでもない厚さだな。大体どれくらいで作れるか?」


「生活を最低限にすると約2週間。普通にやるなら1ヶ月半ってところ。」


「なら1ヶ月で終わらせるようにしよう。これは俺がまとめて全員に渡そう。作業は明日から開始だ。」


「ほか社員にもしっかり伝えておいてくれ。明日からまた忙しくなるぞってな。」


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