第26話 比較的和やかな試合


「暇だねー。」


「そうですね。全然相手来ないですよね。」


「ああ、そういえば秋葉さんには教えてなかったね。ギフトの1つだよ。『敵に自分の位置がバレる。』」


「私と違う系統ですね。そっちが良かったな〜。」


「そうかな。一人めちゃくちゃ落ち込んでたけどね。まあギフトが誰に与えられたかどれくらい持ってるかはわかんないから困るね。でも同じギフトはないっぽいかな。」


「そうなんですね。というか灯ちゃんはギフトあるのに私はないんですね。なんでだろ。」


「さすがに3人に渡したらきつそうだから辞めたんじゃね?」


「私もそう思いますね。」


「まあだよね〜。というかギフトって不利なやつしかないんですかね?」


「ああ、確かにね。一応エクスくんのギフトは全員に有利とは言えるけど自分が有利になるってやつはないよね。」


「でも自分たちだけ有利になるギフトがあるなら僕のところに来てくれてもいいんだけどな。」


「さすがに無理だろ。優勝者にちょっと強くなったやつが勝てるわけが無いだろ。」


「やってみなければわかんないだろう?」


「いやいや、無理でしょ。私は絶対勝てないですね。」


「そうかぁ。ねえ後何分くらいでギフトの効果切れる?」


「まだ半分以上あるよ。まあ気長に待ってなって。さすがに30分でほとんど片付くなんてことは無いから大丈夫だよ。」


「そうだけど。やっぱり暇なんだよ。なんかかかってくる人が来てくれればいいのに。」


「あれ?皆さんなんかありますよ。水晶?みたいなやつをムキムキの人達が守ってるみたいな感じですけど。」


「ぶははははははは!なんだあれ面白すぎんだろ!」


「あははは!よく見てくださいよ!あの中に人が・・・・・・・・・あれ蘭ちゃんですね。にしても絵面最高ですね。いきます?」


「戦うチャンスだね。行こうか。」


「判断が早いね。」


「大方ギフトの1つなんだろうね。見てわかる限りならあれ守り切らないと蘭さんがゲームオーバーになるって感じかな。」


「でもいいの?あの4人を倒すのは簡単だろうけど楽しくないと思うよ?」


「う〜ん。仕方ないな。一か八かの交渉しようか。おーい!」


「君交渉下手じゃなかったっけ?下手すぎて僕が割って入らないとエルミーさんここにいないレベルで。」


「だ、大丈夫だよ。というか呼んじゃったし僕がやるよ。」


「なら任せるよ。」


「エルミーさんそうだったんですか!?どんな感じでした?」


「すごい怖かった。」


「あの人たまにすごい怖く見えるんですよね。ゲームじゃなかったら漏らしてましたよ!」


「女の子がはしたないよ!灯ちゃん!」


「うう、ごめんなさい。」


「・・・・・・なんかあっちでもこっちでもわちゃわちゃしてんな。」


「私たちはたとえあなたが相手だろうと引かない!みんなで蘭を守り戦い抜くんだ!」


「「「おー!」」」


「うわっ。すごい団結力だ。私たちも負けてられませんよ!」


「そうですよ!今こそ私たちの絆の力を!」


「君は一応敵でしょ。」


「真の絆はどんなものにも屈しない!」


「ほんとだ敵だね。返したらすぐに倒しちゃおうか。」


「ひどい!」


「戦ってもいいけどちょっとした交渉をしに来たんだよ。」


「交渉だと?」


「そう。僕は本気の戦いをしたい。だから蘭さんが復活するまでここで待つ。復活したら勝負開始。どう?」


「ふむ。我々だけでは心もとない以上その交渉には応じよう!だがそっちは守ってくれるのか?いきなり攻撃されても困るのだが。」


「ギフトのおかげでそれは無いから安心しなよ。」


「それなら信用しよう。」


「君は・・・・・・守ってくれよ?」


「・・・っ!?もちろんだとも!蘭に限らずチームメイトを捨て逃げるなんてこと、私は絶対にしない!そして1度した約束を違うことも絶対にしない!それこそが漢なのだ!」


「私たちは強固な絆で結ばれているんだ!仲間を置いて逃げるなど我々の辞書にはない!」


「それはすまなかったね。じゃあ蘭さんが復活するまでみんなで話しでもしようよ。どうせ誰も来ないからね。」


「やっぱり結構ギリギリを攻めた交渉だね。最後のいらないでしょ。」


「あのはいかイエスしか許さないやつですよ!ホント怖いですよあれ!」


「蘭ちゃんチームみんな蘭ちゃんみたいな人達と思ったら違いますね。」


「根は優しい人だらけだな。見た目は怖いけど。」


「私は別になんとも思いませんけどね。世界には色んな人がいるって思い知らされてますから。」


「なんで遠い目をしてるんだよ。」


「いや、ちょっとね。」


「はいはい、ちょっとそこ静かに。それで、蘭さんが出てくるまで後どれくらい?」


「知らんな。だが俺はギフトの効果が切れる30分が蘭の解放の時と思っているぞ!グリモワールよ。」


「やっぱり居たか。」


「当たり前だろう!と言っても誘われたのは蘭からでは無いがな。コグマに誘われたのだ!」


「コグマ?」


「私の事だ。」


「名前可愛いな!」


「⋯⋯話を戻そう。コグマに誘われた俺は琴線、いや筋線が疼いたんだ!こいつは素晴らしい筋肉の持ち主だと。だから一緒に来たのだよ!」


「そういえば君はギフトは貰ってないんだね。」


「そうだな。貰ってないぞ。重力が10倍になることを期待してたんだがな。」


「⋯⋯僕は君が怖いよ。」


「はは、俺に勝ったくせにビビるなんてな。根性が足らんぞ!」


「ほぼ運見たいなものでしょ。まともにしてたら負けてたさ。」


「それは分からんな。おや!そこにいるのはリブラ嬢ではないか!」


「嬢?」


「女性の前であからさまに態度変わるのってどうなの?」


「知らんな。俺は女性に優しく丁重にもてなせと言われて来たんだ。変える気などない!それで同じ拳を扱うもの同士!ぜひ語り合わないか?」


「私筋肉とか知りませんよ?」


「そうか!なら色々とコツを教えてやろう!短いながらも楽に動けるようになるだろう。試合では無駄が多いようだったからな!」


「じゃあお願いしますね!ちょっと席外しますねー。」


「いってらっしゃいませ!お姉様!」


「マイペースだなぁ。今戦ってるんじゃないのかな?」


「仕方ねぇだろ。どうせやることないんだから。」


「ねぇ。あと何分くらいかな?」


「後10分とちょっとと思うよ。まあ待ってなって。」


*****


「そこで腰をまわす感じで腕を振るんだ!」


「こう、ですか!」


「そうだ!初心者の割に筋がいいぞ!その調子だ!」


「イエッサー!きんにくさん!」


「蹴りは足を掴まれたら終わりだ。試合ではよく使ってたようだがあまり使わない方がいいぞ!俺くらいになればあれくらいは掴めるからな。だが掌底はいいぞ!奥にまでダメージがいくから効果的だ!こっちに打ってみてくれ!」


「イエッ⋯⋯サー?」


「どうした!はやくするんだ!」


「は、はい〜。⋯⋯大丈夫かなこの人。」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

恐らく大丈夫じゃないですね。


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