第6話

 大西晴斗は2年も待った。島田の妻をモノにしたくてうずうずしていた。

事故の時一緒に行った杉本と古川は、俺から夫々謝礼として受け取った1千万円を元手に、杉本が土建業で、古川は飲食業で独立をしこの2年間で結構金回りが良くなったようだった。

俺は飲み屋で少し金を回せとせびり、月に数万円の小遣いを取っていた。

「なぁ、大西、お前島田の女房が欲しくて旦那を叩き落したのに何やってんのよ、未だにあの女に、うん、って言わせられないのかよ」杉本がにたりとして言う。

「俺もそろそろ、うずうずしてきてるんだが、あのガキも全く懐かねぇし」俺が答えると「さっさと抱いちまいな。そうすりゃうんもすんもねぇって」と古川が焚きつける。

「ばぁか、一度で終わらせるんならそれも良いが、先々結婚となればそうはいかないんだよ」

俺はこいつらに大した能力が有る訳もなく、偶々俺がやった金で金回りが良くなったからって、俺に向かって生意気な口を利きやがってと、二人を呑んでかかっていた。

「それにしても死体は上がらないもんだなぁ」杉本が呟き「そうすりゃ女房も諦めるだろうによ」古川が薄笑いを浮かべて俺に向かって囁く。そんな会話が飲み屋に行くと繰り返された。

 

 紗良の娘はもう11歳になった。学校の帰りに塾へ行く曜日に合わせて、紗良の家を訪問した。

いつも玄関は開けてくれる。

 

 今日、俺は、決意を持って紗良の家のインターホンを鳴らした。紗良が嫌そうな顔をしながらドアを開けた瞬間、大西は開いたドアから無理やり中へ入ると、紗良の手を掴んでずかずかと上がり込み、リビングのソフアに紗良を押し倒した。紗良は驚きの顔を見せ悲鳴を上げたが構わず欲望のままに行動した。

 一時間後、紗良の恥ずかしい写真も撮った俺は「また来るから」と言い残して家を出た。

紗良は無言で泣いているようだったが気にはしなかった。

 それからは毎週同じ曜日に紗良の家へ行った。紗良が家に入れないと言うと、胸ポケットから写真を見せて、良いのかと脅迫まがいのことをしても紗良との関係を続けたかった。

 数カ月そういう生活を続けてから、真帆のいるのを承知の上で紗良の家を訪問し、真帆にお土産をやって夕飯を食べさせろと言って上がり込んだ。

 真帆は嫌な顔をしていたが、お土産だけは受け取った。

そんなことを何回か繰り返した後、夜8時頃娘を部屋に戻らせ、大事な話があると言って紗良の部屋に強引に入って鍵を掛けて、抱いた。

紗良の家を出たのは翌朝になり、そのまま出社した。

最初は月に一回、半年後には毎週そういう暮らしに持って行った。

 翌年、俺は、紗良に「結婚するから娘を説得すれよ」と強く命じたが、「涼真の失踪宣告は事故から7年後でないとできない」と抵抗され、仕方なく「それまでは同棲生活でも良い」と言って、会社には結婚したと報告を上げ、元の家はそのままにして紗良の家に引っ越した。そして一番奥の夫婦の寝室をそのまま俺と紗良の寝室にしたかったが、紗良が気が狂ったのかと思うくらい物を投げつけ抵抗したので、やむを得ず俺の寝室にして、リビングの隣の仏間にもなる部屋を紗良の寝室にした。

娘は俺を嫌ってぐれ始めたが、どうでも良かった。

 

 一つ屋根の下に暮らすようになると、俺は次第に紗良の心が欲しくなっていった。しかし、俺が紗良を自分の寝室へ強引に連れ込まない限り、紗良は夕食の後片付けを終えるとゆっくりテレビを見ることは無く、さっと自分の部屋に引っ込んで鍵を掛けてしまうので、二人で話す時間は作れなかった。

 また、娘を手懐けようと色んなものを買って与えてみたが、真帆は俺の手からそれをさっと取り上げて礼も言わずに二階へ上がってしまう。そして鍵を掛けてノックをしても返事すらしない。俺は、時が経つにつれ腹が立ってきた。

 最近は胸も膨らんできて、尻も大きくなって来た。紗良に真帆は生理始まったのかと訊くと、きつい目で睨みつけられた。「どうなのよ!」腕を掴んで強く言っても「あんたに関係ない!」と怒鳴られた。

悔しさに、娘が高校生にでもなったら抱いてやると決めてその場は我慢した。

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