この世情にぶっ刺さる、そんな物語

この度は「無毛症の彼女、どうやら死にたいらしい」をご拝読させて頂き、誠にありがとうございます。
まさかまさかの作者様ご本人の実体験が、この物語の題材になっていたとは。驚きを隠せません。リアルに秘された幻想をテーマに、小さな二人が物語を駆ける姿には思わず一目惚れでした。周囲とは少し変わった少年と、無毛症の暗い彼女。対比の関係であれど、お互いを見つめ直し、共通点を見つける。やがて彼女の暗がりの心も晴れ、一歩一歩前進していく。二人の在り方も、恋路も。タイトルを見たときの初めは、あまり想像がつかない、という靄がかった印象でした。ですがどうでしょう。読み終えたあとのこの、形容しがたい晴れ晴れとした満足感と高揚感。そんな、素敵な作品でした。
最後まで飽きさせない、これで短編小説なのかと耳を疑うほどに面白い作品でした。本当にありがとうございました。……あわよくば。二人のこの後も、気になりますね。