【短編】甘えたいvs突っぱねたい

奏流こころ

甘えと突っぱねの攻防

「ねぇ、お願いだからさー」

「なんでよ!」


 目の前で今日も攻防戦を見せ付けられる。

 第三者である僕の身にもなってくれ。


 水野みずの木津谷きつやさんに甘えている。

 木津谷さんは水野を突っぱねている。


 グループで授業を受けると、だいたい2人は同じグループになり、横隣になって、攻防が始まる。

 対面だと逆に黙りになる2人は不思議なものだ。

 今、調べ物をまとめる授業をしている。

 それで、水野は木津谷さんに面倒事を頼んでいた…いや、押し付けていた。

 それを何としてもやらない方向に木津谷さんはもっていこうとしていた。


「俺出来ないから、ね?お願いお願い」

「だから、私も忙しいから!」


 うーん、面白い。

 外野だからよけいに。

 木津谷さんはキツく言っているのに、気にしない水野のメンタルは鋼だ。


「相変わらずだね、あの2人」

「まあな」


 僕の隣に座る美濃みのうさんがクスクス笑っている。


「だったらさ、由美ゆみちゃんのそれやるから交換しよ?」

「ふざけないで、バカ」


 本当に、喧嘩しても仲良いな、なんて思ってしまった。


ふじ君、早くまとめてしまおう?」

「そうだな」


 僕と美濃さんは冷静にまとめ作業を進めながら、水野と木津谷さんの様子を見守った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【短編】甘えたいvs突っぱねたい 奏流こころ @anmitu725

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ