私は殿下を護衛しながら学院都市内に存在するディートリヒ男爵家で借り受けている邸宅へと足を運ぶ。

 無事に邸宅へと到着した段階で殿下には心労から気を失って貰う事にして、脳を揺らし昏倒させた。


「お帰りなさいませご、主人様」

「アナ、殿下の事をよろしく頼む。それと姉様は無事なのかは解るかい?」

 表の名前はアナと名乗っているヘェッツお付きのメイド、ジーブン・トーンライターの一人ハーシがヘェッツの問いに答える。

「畏まりました。

 ヴェーテファン様は学院の避難所に避難されております」

「解った、無事で何より。何か報告はあるかな?」

「ヴェーテファン様が大変心配されて居られました」

「それは織り込む済みの事だし、大丈夫かな?後が大変そうだけど…

 まっ、まずは最後の仕上げに集中するよ。出掛けてくる、後は任せた」

「いってらっしゃいませ、ご主人様」


 ハーシ…アナと簡単に話をした私は、イェーガー・デァ・ドンクレン・ナハトの一員として仮面を被り身元がバレ無い様に変装をして王城へと向かった。

 王城までは炎と煙を避ける様にしながら、建物の屋上伝いに移動した。


 王城では今も警備兵達とイェーガー・デァ・ドンクレン・ナハトの構成員達との間で攻防が繰り広げられているが、余裕があるイェーガー・デァ・ドンクレン・ナハト側に比べ王城側の戦力は苦戦を強いられていた。


 王城に到着し陣頭指揮を執っているアーラを探す。すると王城の庭にて簡易陣地を築いて指揮を執っているアーラを発見した。

「アーラ、状況は?」

「これは主様。

 現在の状況は敵を押し留めつつ、遺物の回収を行っているところです」

「なる程、じゃ回収が終わったら最後の仕上げといこうか」

「はっ!」

「しかし、王城で保管されている遺物。有用な物があると良いね」


 しばらく後。

「主様、遺物の回収と撤退作業完了致しました」

「りょう~かい。じゃ、最後は派手に締める事にしましょうか」

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