イェーガー・デァ・ドンクレン・ナハトを結成し私が十五歳になるまでの話しを簡単にしよう。

 この凡そ七年の間に、悪魔憑きの確保とその治療を行い人員を確保しつつ、拠点の拡張工事と設備拡充を行い、少しづつ組織としての能力拡大に成功する。

 ツェードには、悪魔憑きを探させつつ隠密方の仕事を任せ、デーレには私が保有する知識を与え、この惑星上で実現可能な様々な物を研究開発させている。

 エーミには荒事を任せ、エフファには表の仕事を割り振った。この表の仕事はヨドヤ商会と言う商会を立ち上げて、デーレが形にした物の内販売可能な物を売りに出し利益を得ている。地球だと魔法のある一八〇〇年代頃の文明には、それはもう革新的な商品として受け入れられヨドヤ商会は瞬く間に成長していった。

 そしてゲーソには、この惑星にちりばめられた様々な遺構や遺物の調査を命じている。このアミューズメント惑星を愉しむ為の事前調査だ。

 アーラにはイェーガー・デァ・ドンクレン・ナハトの軍事部門の指揮を任せ、何か荒事があった時に備え、日夜メンバーの教育に専念させている。

 最後にハーシは私付のメイドとして変わらぬ活動をして貰いつつ、私が裏の活動をしやすい様に様々な支援を任せていた。

 イェーガー・デァ・ドンクレン・ナハトは組織として成長した。

 裏側の準備は万端だ、何かイベントが起ったとしても、愉しむ事が出来るだろう。

 そして表側にも変化が訪れる。


 一五歳、ベーエアデ王国に仕える子息子女が王都の貴族学院に通い参勤する年である。

 私の姉も、私が十二歳の時に王都に向かい貴族学院で勉学に励んでいる。そして、私も十五歳になったので貴族学院へと向かう必要があるのだ。

 貴族学院。その名の通り貴族の子息子女が通う学院で、ベーエアデ王国の王がその権勢を維持する為と同時に、貴族を貴族たらしめんとする為の教育機関である。

 礼節から始まり、領地経営は言うに及ばず学問や武術等幅広い勉強が出来る、王国最高峰の知識の継承地、それがベーエアデ王国立貴族学院である。

 様々な勉強が出来るこの学院、どの授業に出席するのかは私達子息子女に委ねられている。私は長男なので領地経営の勉強をしながら、魔剣士としての鍛錬に励む予定である。

 因みに姉であるヴェーテファン姉様は、ほぼ魔剣士の授業ばかり受けている様であった。貴族令嬢としてちょっと先行きが不安である。

 ともあれ、私も貴族学院の学院生である。

 この学院は貴族社会の縮図だ。貴族階級を嫌が負うにも勉強させられる場所なのであった。が、学院内での出来事は勉強という位置付けの為、家同士の軋轢にするのは御法度と言う事に表向きはなっているので、余程の事をしなければ問題になるような事はないのである。

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