第4話 いいなぁ

「皆気になってると思うけど。エステ行ってきたよ!」

 ピザを食べ始めてすぐ、麗奈が皆が気になっていることを察してか、さっそく500円で受けることができるエステの話題を振ってきた。

「「「どうだった?」」」

 皆関心があったようで、思わずどうだったと同時にハモってしまった。

 でもそれもしかたない。だって500円だよ、500円。

 ちょっとしたカフェで生クリームの乗った飲み物ですら、最近は500円じゃ楽しめないんだもん。



「一番聞きたかったことから順番に言うけど。値段は本当に500円だった」

 麗奈はちゃんと私たちが一番ききたかったことを言い切った。

「嘘~本当に?」

 信じられないって朋ちゃんがつぶやくけど、私も同じ意見。

「勧誘がすごいとか?」

 白雪ちゃんがズバリさらに聞きたいことを聞いてくれて、私は麗奈をじっと見つめた。

「私も勧誘結構あるのかなと思ったんだけど。全然そんなことなかった」

 その質問にホッと安心するけど、私にはまだ聞きたいことがある。



 モニター当選したおかげで、私は今度古屋さんと一緒に駅前のホテルの中にあるエステを実際に受けからこそ。

 先にエステを体験してしまった麗奈に実際エステってどういう流れで行われるのかを恥をかかないためにきいてみた。

「ところでさ、エステってどういう流れでやるの?」

「「私も気になる」」

 白雪ちゃんも朋ちゃんも気になっていたようで、私の話しに乗っかる。



「えーっとね。まず最初は担当になってくれる人から挨拶をうけて、それからカウンセリングを受けたの。といってもほとんど雑談みたいな感じだけど。エステに使う化粧水のパッチテストを腕の内側でして異常がなかったら。個室の施術室に移動して開始って感じ」

 麗奈は実際にどうだったかを話し始めた。



 顔にスチームを当ててもらって、それが気持ちよかったこと。

 メイクを担当のお姉さんに落としてもらってから、顔にオイルを塗ってもらってマッサージしてもらったこと。

 緊張していたけれど、施術しているお姉さんと大学のことや出身はここなの? とか雑談をしながらエステをうけたこと。

 お姉さんが話しやすかったからよかったとか。



 その後、今のお肌の状態、未来の肌の状態をみることができる器械でこの辺にシミができやすよねって話をしたこと。

 一応形だけだからってことで、エステの契約コースについて規約だからって説明と、化粧品も取り扱っていることと化粧品のサンプルをもらったこと。

 無理強いはしないけれど、やっぱり若い間からやることで将来の肌が全然違うよって話をしたそうだ。



「500円で受けたんだけど。通常だったら、1万2千円はもらう施術なんだって。月に1回で1年間通うのだと通常144000円かかるんだけど。12回コースの契約をしてもらえると、12万になってお得だからまた考えてみてって言われた。全然勧誘もしつこくなかったし。よかったよ~」

 あまり仲良くない子から言われたら、違ったけれど。


 いつメンである麗奈から言われる言葉は説得力があって、安心感がぜんぜん違った。

 本当に500円なんだ。

 それに勧誘平気だったよ~っていうってことは平気なんだと思う。

 だって本当は勧誘をしつこくしてくるのを嘘ついたところで、実際は勧誘がしつこくて嫌な思いをしたとなると、仲いいメンバーだと困るもんね。




「12万かぁ。でも1月当たり1万ってなると出せないことはない金額ではないから。ちょっと考えてみようかな」

 朋ちゃんがうーんっと悩みだす。

 そうなのだ。

 毎月1万は大きいけれど、ちょっとお洋服を買ったりご飯を食べたりするのを我慢すれば捻出できない額じゃないのよ。


「12万ってなると大金だけど。月々にすると1万円って考えるとちょっと我慢するだけで行けるから思ったよりお手頃かもって私は思っちゃった。それに若い間からケアしたほうがいいって聞くし。後、シミができやすい場所を見るのしたら、私結構頬とかにでてきそうでさ」

 麗奈はそういって、まだシミができてない自分の頬を指さした。

 シミとか考えたことがなかったけれど、お母さんは頬に少しシミがいくつかあるし。

 娘の私もできやすいのかもしれない。



「私のお母さんシミをファンデーションでいつも隠してるんだ。私もできやすいのかな……」

 朋ちゃんもどうやら私と同じことを思ったようだ。

「エステで販売している化粧水は6000円らしくて。そこまでは流石に無理そうだけど、月に1度くらいならなぁってちょっと実は思ってる。サークルの子もすでに12回コースで契約してるし。友達を紹介すれば、紹介した子が入らなくても、1度につき1回コースとは別に500円でまた施術を受けれるみたいだし、そうすれば月に1回以上上手くいけば通えるのかもって……」



「契約しなくていいなら、1回500円なら私いってみてもいいよ」

「えっ、白雪ホント!?」

「私も別に1回500円ならいってもいいよ!」

「実来もありがとう」

「あっ、麗奈ごめん。私たぶん先に声かけてきた子がいて。その子の断って別の子の誘いで行くとなんで!? ってなりそうだから。行くにしてもそっちからになるかも。ごめん」

 朋ちゃんは先に別の子から声をかけられた手前、人間関係とかもあるんだろうけれど。後から誘われた子と行くのはちょっと厳しいカモとハッキリ先にいってきた。

「朋了解。白雪と実来は私からの紹介で来てくれるとホント助かるかも」


 麗奈はどうやら、同じサークルの人たちのように、この調子なら12回コースを契約して、友達を月に1~2人とか誘えばいいかなと前向きのようだ。



「じゃぁコース契約したら、声かけるね~。予定が合うほうが先に一緒に行こう!」

 そんな感じでピザパーティーは終わった。




 後日麗奈は『本日、エステ12回コース契約しました! お金きついけど頑張る~(;'∀')』とグループに連絡してきた。





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