可愛い妹は俺にもふもふのアレを被せないと面目が潰れるらしい。そのさん
「いっ、いったい
まったく予想外の状況が部屋の中に広がっていた。
私、
いつもはロフトベッドで就寝しているはずの拓也お
そ、それも全裸状態で!?
足元には脱ぎかけの普段着のジーンズが絡まり、上半身の手には寝間着が握られていた。きっと寝不足と薬の効果が相まって気絶するように寝てしまったんだと推測した。
……朝の食卓で交わした言葉を思いだす。
*******
『う〜〜ん、今朝は寝不足でめちゃくちゃキツイな……』
『拓也お兄、どうしたの!? 顔色が悪いよ。やっぱり風邪をひいちゃったのかな……』
『未祐、心配するな、お兄ちゃんは風邪なんかひいていないから。単なる寝不足だよ』
『じゃあ、今日は休みだからもっと寝てればいいのに……』
『それが妙に頭がさえて眠れないんだよ。胸もドキドキしているみたいだし……』
つらそうな顔を見ているだけで、未祐とっても心配だよぉ!! だってお兄ちゃんが好きすぎて、好きすぎて私のほうこそ胸がドキドキしちゃうから……。
『じ、じゃあ、未祐がお母さんに何か薬がないか聞いてみるから、お兄ちゃんは朝ごはんを食べたら部屋で早く休みなよ』
『今日は未祐のいうとおりにしようかな……』
いつもは私の言うことに軽口で返してくるのに……!?
妙にしおらしい態度が逆に心配になる。
『ははっ、未祐はそんなに心配そうな顔をすんなよ。こうみえてもお兄ちゃんはタフなんだから。……でもありがとうな。昨日から俺の身体に気を配ってくれてさ。お前は本当に可愛い妹だよ』
そう言ってお兄ちゃんは私の頭を優しく撫でてくれた。とてもあたたかい指先が髪の間通り抜ける感触が心地良い。未祐はソレに弱いんだ……。
わ、私のことが可愛いって!? ど、どうしよう。こんなに素直なお兄ちゃんは未だかつて見たことがないよぉ!!
『み、未祐のことを子供扱いしないで!! もう高校一年生なんだから……』
『……あっ、悪い。つい前のくせで未祐の頭をなでちゃったよ。でも中学のころまでお化けが怖いから一緒のベッドで寝たいって俺に泣きついてきたのは誰だっけ?』
『未祐を馬鹿にしないで!! もう立派に大人なんだよ。ほらっ、この豊満なわがままボディーを見よ!!』
『……確かにおしりを含めて未祐は豊満なわがままボディーだよな。成長期のおっぱいを除いてさ』
『へ、変態!! えっちな拓也お兄なんて、大大大っ……』
『はいはい、もう聞き飽きたよ、俺のことは大嫌いなんだろ……」
……大嫌いの反対だ、大好きなんだよ、拓也お兄ちゃんのことが。
やっぱり私はわんこだ。お兄ちゃんから身体に触れられると絶対服従のポーズをとってしまう……。想像上の長いしっぽをぶるぶる振って。
『そ、そう言えばお兄ちゃん、この間、ショッピングモールに買い物に行ったとき、ペットショップで見たわんこちゃん、すっごく可愛かったよね。白いもふもふ犬。頭が大きいアフロみたいな犬種ってなんて名前だったっけ?』
この胸のドキドキをお兄ちゃんに悟られまいと急に話題を変える。
『ちょっと待ってろ、いまスマホで検索してやるよ、白いアフロ犬っと……。
おっ!! これだな、見てみろよ未祐』
お兄ちゃんが差し出してくれたスマホの画面には大きな頭の白いもふもふ犬画像が多数表示されていた。
『うわあっ!? めっちゃ可愛いね。犬種はビションフリーゼだって。なになに、もとはマルチーズでそこから派生して上流階級の愛玩犬として広く親しまれたんだって、あっ、この間ペットショップで見たのはこの画像のわんちゃんかも!?』
『おっ、すごい偶然だな、ワオンモール内のお店なら絶対にこの子だよな』
『……ねえ、お兄ちゃん、何だかもう一度この子に会いに行きたくなっちゃったよ。もし良かったら、明日の日曜日に未祐と一緒に見に行かない』
『ああ、別にいいぜ。明日は何も予定がないし……。でも珍しいな、お前が俺を誘うなんてさ』
まったく素直じゃないな私は。お兄ちゃんとショッピングモールでデートしたいってはっきりと言えばいいのに。
それと同時に私はあの画像のわんちゃんに何か運命的なモノを感じたんだ……。
*******
「……未祐ちゃん、もうお部屋に入ってもいいかな?」
私は親友の
「赤星、この犬の着ぐるみの頭を早く部屋に入れさせて貰ってもいいか?」
今度は
ドアの外で待たせたままだった。二人の手にはアニメ同好会の自主制作アニメ作品の参考のために可愛いわんこの着ぐるみを抱えている状態だ。
その着ぐるみを使って、そ、その男女の交接……。耳年増な千穂ちゃんならためらいなく、男女がえっちする意味だと口にするだろう。その場面の参考のために拓也お兄ちゃんに着ぐるみを着せてモデルにするんだった!!
慌ててもう一度、全裸で床に寝ているお兄ちゃんの姿を確認する。
ほっ!! パンツはかろうじて履いていた、何とかぎりぎりセーフだ……。
おそるおそる部屋の中央に進み、お兄ちゃんの顔を覗き込む。
あれっ!? こんなにまつげが長かったっけ。すごいドアップで顔を見てしまった……。お兄ちゃんの寝息が未祐の首筋に掛かる距離感だ!!
「う、う〜〜ん!!」
「きゃああっ!!」
わわわっ!? 急にお兄ちゃんが寝返りを打った!!
ちょっ、ちょっと待って!? お兄ちゃんの腕が首筋に!! 私は抱きまくらじゃないよぉ……。
「未祐ちゃん!! どうしたの、部屋の中から悲鳴が聞こえたけど」
「赤星!! どうした、何があったんだ、よし森田、一刻を争う事態かもしれない。部屋に踏み込むぞ。お前も覚悟を決めろ!!」
あああっ!? 二人が部屋の中に入ってきちゃうよおおお……。
お兄ちゃんから首筋にまわされた腕の力が強くて振りほどくことが出来ない。
あ、足も絡んできたよぉ!!
ど、どうしよう!!
次回に続く。
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