第7話

***


 それからふたりはなにもない瓦礫の町をしばらくぶらぶらと散策して、夜には砂の上で並んで寝転がった。星空はきらきらと綺麗で、ネオンなんかがなくても明るかった。


「つぎは、どこにいく?」

「んー……」


 メリノは色々と考えたが、特になにも思い浮かばなかったようで「オーシャンは?」

「俺? そうだなあ、海とかどうよ」


 オーシャンは自分の知っている海というものについて、嬉々として語った。青くて綺麗で、すこし乾いた不思議なにおいがして、ぬるぬるの変ないきものが泳いでいる。


「いいね。いってみたい」


 目蓋の裏にオーシャンの言葉でできた宇宙を浮かべながら、メリノはつぶやいた。ああ、砂の上って意外と暖かいな。胸のが取れて気が抜けたのと、身を預けた地面の心地よさに微睡む。


「……かと思えば、透明なカサをかぶったフヨフヨの風船みたいなのがいたりして──あれ、メリノ?」


 呼びかけるオーシャンの声が遠くなって、徐々に意識のカーテンが幕をおろしていく。メリノ、めり──……。


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