幕間3 犯人

第26話

 不破創一を殺害した。


 実に呆気ない最期だった。

 実力ナンバーワンとも言われていた不破が、こうまでもあっさり死んでしまうのだから、名探偵も案外大したことはない。

 上手くことが運び過ぎて、少々怖いくらいだ。


 とは言え、不破に勝ちの目が全くなかったかと言えばそんなことはない。  


 ――紙一重。

 ほんの少しの狂いで、不破に敗れることも十分あり得る状況だったのだ。


 例えば、不破が服の中に隠していた蛇を一日目に部屋の外に放っていなければ、恐らく返り討ちにあっていたのはこちらだっただろう。


 それは不破のミスというよりは、単に運が悪かったというだけのことに過ぎない。

 だが、最も恐ろしい相手を倒すことに成功した。


 運も実力のうち。

 不破の死は大きな自信になった。

 この驚異の殺人トリックは、名探偵が相手でも十分に通用することが分かったのだから。


 ――さて、次は誰かな?

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