gal

イタチ

第1話

長い点灯を繰り返す卓上の電気の瞬きを

私は瞼の裏から凝視し続ける

橙色の幻覚がゆらりと肌を透け

血の色を網膜に浮き上がらせている

肌寒い感覚を肌が刺す寒さに

シビラせながら

外の気温に

ガラガラと耳をすませば

何かが聞こえてくる

それは室内からなのか

眠りまなこの視野の中

夢現の現実において

私は先ほどから

何かがカラカラと回り続けている幻聴を聴き続けている

室内は明るい

しかし

私の視野はまぶたの裏側である



 お母さん ただいま


部屋に 他に人間はおらず

ただ台所には 料理が並べられ

私は 存在を中で エビの揚げ物を見ながら

事の問題性を思案している

誰も居ない

そう 誰も居ないはずである

しかし それこそが 大問題なのだ

それは 某ネズミのペット 

ジャンガリアン ハムスターの雌の太郎が

昨日

そう一昨日ほど前から

その姿が消失してしまっているのだ

果たして 何処にいるのか

そんな存在は 本当に そこにいたのか

そんな幻想も

部屋に置かれた

ペットの檻に並べられる中

虚しく佇む 回転ぐるまのケバケバしいプラスチックの

姿を見ると

より多く より一層に

その存在が 浮き出る様に

私にその存在を

居たのだと

お前の幻覚幻想幻聴妄想の類ではないことを言い表している

そんな 論より証拠とでも言いたげな

存在よりも

ペットの逃亡に付随して

その生命活動の期限も非常に重要視しなければならないだろう

私は

時計の針を見る

6時を過ぎている

ペットの事を考えると

食べたい物も

美味しくは食せないだろう

しんと静まり返る室内

外の喧騒は雪に黙失させられ

室内においても

母親の静寂は

イヤホンから流れる

ラジオへと向いているに違いなく

キッチンの片隅

冷蔵庫を見ているのか

それとも

耳から繋がれた

コードの先の

小型プレイヤー付きのラジオ機能に及んでいるのか

どちらにしても

室内に音は、、、、、


カラカラカラカラカラカラカラカラ


私は

階段を駆け上る

なんの音かわからない

外の音だと私はてっきり

感想を考えていたのであるが

もしかすると

もしかしたら

しかし

私は銀色の鉄の檻を考えながら

果たして

扉が閉まったゲージ中中に

アb小動物である

太郎が勝手に戻る事など

あるのか

いや

そんな事は無いに違いない

私の思案は

徐々にゆっくりと

足の速度を緩め

扉の前で

時速が0を差した。


木目調のドア

それが何かは知らないが

合板か何かであろう

ただ

私は

内部から


 カラカラカラカラカラカラからカラカラ


と何かが鳴り響く

小さな音を鼓膜で聞き取り続け

受信し続ける

何かが

動物でなくとも

何かエネルギーがあり

それが何かしらの理由を有し

動き

何かに当たり

音を出している

何が音を発しているのか

私は部屋で音が出そうなものを

考えようとしながら

それでも

洒落せえと

扉を開けると

明らかに先ほどよりも

僅かに

音が大きく

カラカラと何かが回っている

ー何かー

私はいつも置いてある

机の横のハムスターの檻を目で見る

見つめる

明かりのついた部屋は寒く

誰が開けたのか

僅かに隙間風が吹いている

その間も

頭の中で

何かが回転し続ける

そんな摩擦音が


カラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラ




部屋の中にハムスターは果たしていたのか

私の脳は分からないという







夕食にエビフライを食べる

僅かな発疹がアレルギーとして肌にポツポツとおうとつを示す

明かりがゆらめく

2階からは音がする

誰も居ない室内

電気ばかりが明るく

外は寒く

室内は静かだ



















長い幻覚を揺がし泳ぐハムスターの幻覚幻想は

回転ぐるまの脈動を読み解き

静かに自壊を始める

幻覚めいた妄言はポツリポツリと

軋みとして聞こえ

脳の辻褄を軋みとしてカラカラと

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gal イタチ @zzed9

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