第10話 最強の戦士(スーパーなやつではない)

 一緒に召喚された人が来るわけではないと知り、召喚された場所を見張る時間を、刀を振り、変形を使い1番自分に合っている長さえと調整し、とにかく振りまくった。


 気づくと薄さ3mmほどで、長さが1.6mの刀になっていた。普通これぐらいの薄さで、この長さだとすぐに折れる。

 しかし、この世界には魔力があった。そのおかげで刀身に魔力を流し、硬くし、切れ味を上げることも可能であった。

 魔力を流すと刀身が紅く輝くため夜戦にはあまり向かなかった。しかし、元々切れ味が途轍とてつもなかったため、普通に切っても負荷はかからないのだろうが。


 俺は、最近見つけた周りに何もない場所までやってきた。今日からは、ただ素振りするのではなく、少し趣向を変えてみる。

 目を閉じ、俺が知る中で最強の剣士を想像していく。


 身長、体格、腕力、技量、息継ぎ、視線、其の他全ての要素を合わせていく。


 想像の中の最強剣士。いや、ジジイが完璧に想像できた時、静かに目を開ける。

 目の前には、一つの刀を構える白髪をオールバックにした身長190近いおじいさんが立っていた。優しげな目元だが、物凄い覇気を放ち、こちらを一部の隙もなく見据える。


「よろしくお願いします」


 挨拶を言い、刀を握り正眼の構えを取り、気を引き延ばすように全身に巡らせる。

 構えたまま一歩も動かず相手を見据える。そのまま時が過ぎていく。


 風によってか、木から葉と葉が擦れる音がした。その瞬間、戦況は一気に動き出す。


 20m程あった距離を一歩で詰め、刀がギリギリ届く位置から斜めに切り掛かる。

 ジジイはこれを半歩引き、紙一重で避ける。


 振り切る直前左手を離すと同時に右の手首を回し、刀を右手の力だけで切り上げる。

 ジジイは俺の斬撃を上に逸らし、同時に腰を落とすように一歩踏み出し、最初に俺が放ったような袈裟斬りが飛んでくる。


 バランスを少し崩していたため受けることは無理だと判断し脚に力を込め全力で後ろに飛ぶ。

 ジジイは深追いすることなくただただこちらを見据える。


「あっぶねぇ」

 レベルアップや気のおかげで、ぎりぎり避けることができた。ジジイは魔力操作やレベルアップをしてない状態(気は使っている)のを想像した。なのにこの強さだ。化け物すぎるだろ。




 その後も、切り結んでは、離れ。切り結んでは、離れ。が日が沈むまで行われた。

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