愛人(まなびと)

大宮 りつ

第1話 プロローグ

 彼女は私のすべてだった。

運命の人は、この世に二人いるらしい。一人目は、愛することの幸せと別れることの辛さを教えてくれる人。二人目は、永遠の愛を教えてくれる人。


 どうして私は、彼女にとっての二人目になれなかったんだろう……。

そんなことを考えながら、幸せそうに微笑む写真の中の花嫁を、煮えきらない思いで見つめた。美しい輝きを放つ真珠色のドレスに身を包んだ姿。最高の瞬間に幸せを噛みしめた満面の笑み。そこに映る全てのものが、私が現実と向き合うには少し眩し過ぎた。

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