Ⅲ ………………?


2022年10月5日

 その日は、珍しく智が早く起きてきた。階下に降りると、

「あら! 珍らしいわね。こんなに早く起きるなんて、まだ朝食の用意も出来てないわよ」

「あぁ、解ってるよ。何だか目が覚めたんだ。新聞でも読むか」と、玄関にある新聞受けから朝刊を取ってきて、読み始めた。そして、地方版のところを見ると、例の行方不明になった少女の記事が載っていた。記事によると『昨日4日に江戸川の下流にある、中洲に引っ掛かっているのが、通りがかりの人により発見され、至急警察がその遺体を検証した結果、身体に何の大きな傷も無いことから、溺死できしと判断された。至急両親とのDNA検査を行うと言うことである。着衣から見ても行方不明になっていた少女に間違いないだろうとの発表があった。よって、今回の少女行方不明事件は、警察発表で事故死と処理された』と、発表されていた。

「あぁ、あの女の子が見つかったんだ。良かった。でも溺死で見つかってもな……。両親は哀しむばかりだな! お袋! あの女の子が江戸川の下流で見つかったんだってさ」と台所に向かって叫ぶと、

「おや、そうかい。それで生きていたのかい?」

「いや、溺死で発見されたんだって、警察発表では、溺死だってさ、それで事故死と発表されてるよ」

「おや、そんなことなのかい。事故死かい、溺死だって、親御さんはさぞかし辛いことになったね」そのあと、智は他の記事を読んでいたが、

「ご飯できたよ。こっちにおいで!」

呼ばれたときには、親父も起きてきてもう食卓に座っていた。 

 

 

 

 

 朝食を済ませると、學校に行く準備をして、自転車で江戸川沿いの例の細い道を走っていた。

 

 ――何だよ! 俺が此処でした体験は何だったんだろう? ヤッパリ夢でも見ていたのかな。不思議だな――

 

 等と考えながら走っていた。あんなに沢山の人が河川敷を捜索していたのに、今は誰もいない。日常の風景が帰ってきた。學校に着いても、日常の生活を取り戻していた。俺のクラス二年二組に入ると、半数ぐらいがクラスにいた。俺の席は窓際の前から六席目だ。前の席は橋本で、右隣が高遠だ。二人とも来ていて、俺の顔を見ると、ヤッパリ例の事件の話をしてきた。

「おい、智。今朝の新聞を見たか?  例の女の子が見つかってたな」

「あぁ、俺も新聞を読んだよ。江戸川の下流で見つかったらしいな。何でも溺死で、事故死らしいな。それじゃあ、一体俺がした体験はヤッパリ夢だったのか?」すると高遠が言った。

「家でも、俺と親父が話し合ったんだ。色々とな」

「あぁ、そうか、お前の親父は県警の刑事だもんな。それでお前の家ではどういう結論になったのだ?」

「俺も親父も最後は、ヤッパリ事故死だろうなと言うことで一致したな」

「そうか、何だか可愛そうな結果になったな」

「智は、人一倍哀しみが感じるだろうな、そこでこれからは更にリノベーション運動を高めなくてはならないと言うことも親父と一致したよ」

「そうだな~、差別の無い世の中に何時になったらなるのだろうな」と三人で話しているときに、学年教師が入ってきたので、会話はそこで、ストップした。そして、いつもの日々が過ぎ、クラブ活動も終り、今日も疲れて家に帰った。一度自分の部屋に入り、ベッドに身を投げ出して横たわった。

 

 ――俺のあの体験は何だったのだろう、違う世界に瞬間移動したのかな? 高遠も異次元の世界はあるよって言ってたもんな――

 

 少し眠くなったとき、階下からお袋の声がした。

「智! 先にお風呂に入りなさいよ。もう沸いてるわよ」って声が聞こえた。俺はあぁ、と返事をして一階に降りて、風呂場に入った。着替えを置いて、風呂に入ると暖かくて、良い気持ちだ。あぁ、天国天国❗ 一通り暖まると、府湯船から上がって、身体を洗い始めた。風呂場は湯気で一杯になった。一通り体を洗うとシャワーで身体に着いた泡を流した。目の前にある鏡も曇ってしまっている。ついでにシャワーで湯気を流そうと思って、シャワーを持って、鏡に近づくと、その時俺は“あっ”と声をあげてしまった。何と! 鏡の中に、あの黒い影の人物の顔が写っていた‼️ え……えっ‼️

 

           (了)

 

 *第二章からはフィクションなので実在の人物団体等は関係ありません。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

小説 Fragile (こわれもの) 淡雪 隆 @AWAYUKI-TAKASHI

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ