Ⅱ 異次元の世界


 そんな時である、その河川敷の土手の上の細い道を自転車で走っているところ、五メートル程先の道の真ん中に水溜まりが出来ていた。

 ――あれっ、この辺りはもう雨が降ったのかな?――

 そんなことを考えながら、近づいていると、なんと! 近づけば近づくほどその水溜まりは、薄くなり消えていった。ところが、また5メートル程先に、また新たな水溜まりがあった。そしてまた同じく、近付くと薄くなり着いた時には、また消えていた。俺は首をかしげながら、自転車をこいでいると、また五メートル程先に、水溜まりがあった。結果は同じことだった。

 ――一体なんだってんだよ! 俺の目がおかしくなったのかな?――

 そして今度も五メートル程先に、水溜まりがあった。しかし、今度は少し大きな水溜まりだった。

 ――どうせ、また消えるんだろ――

 等と考えて、自転車を進めていると、なんと❗ 今度は自転車ごと俺はその水溜まりにズボット嵌まり、沈んでいった。

「ウワーッ、何なんだよー!」と、俺は叫びながら、三メートルほど落下していった。下は柔らかくなっていて怪我はしなくてすんだけど、一体此処は何処なんだ? と思いながら、自転車を降りて、周りを見渡した。歩いてみたが、漆黒の闇だ。何も見えない。どーすりや良いんだろ、とボーゼンとしていたら、近くに幽かな窓のようなものが現れた。俺がそこから覗いてみると、たしか此処は、「木2号公園」だった。俺の記憶では間違いない。良く通っている道だからな。向こうからは俺の姿は見えないんだろうな。可愛い小さな女の子が一人で、キックスケーターで遊んでいた。とそこに少し小雨が降ってきた。女の子は濡れるのが嫌なのか、キックスケーターを放り出すと、公園のすみにある庇の下に走っていった。小雨は直ぐに上がったが、そこに全身真っ黒になった人物が現れた。身体は全身真っ黒だけで見え、顔はボンヤリと見えた。曇りガラス越しに見る感じだ。男か女かは解らなかったけど、とにかく顔だけは見えた。でも全く見たこともない顔だった。誰だろう? その人物と子供は何か話していたが、直ぐに女の子はイヤイヤをするように顔を横に降っていた。そして、雨が止むと、靴を脱いで放り出し、靴下を脱ぐと、くるくるに丸まったまま側に放り投げ、公園のなかを走り回りだした。じっとしていられないのだろう。その間その黒い人物は、靴下を拾い、丸まったのを延ばし揃えて靴も放り出されたのを、両足分揃えて、庇の下ににある、小さな穴のような所に揃えて隠した。そして、女の子が一度戻ってくると、足は泥で汚れてしまっていた。

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