第4話男パート:同僚の話


「なあ青柳、式場とか決まったか?」


「まだなんだよね、色々と探しているんだけど予算とかの都合とかもあるからね」



 休憩時間に自動販売機の前で珈琲缶を飲みながら同僚とそんな話をする。

 しかし彼は珈琲の缶を持ちながらびっと青柳清太を指さす。



「式場と二次会の会場は近くにした方が絶対に良いぞ、俺の時もそうだった。二次会は新郎グループと新婦グループで分かれるのが多いが、離れすぎるとごたごたするからな」


「そっか、二次会の事も考えなきゃか……」



 そう言って青柳清太は首をかしげる。



「でもなんで式場と二次会の会場が近い方が良いのかな?」


「そりゃぁ、お前、その後に各々でチャンスを作る為だろうに」



 同僚にそう言われ青柳清太はますます首をかしげる。



「チャンス?」


「ばっかだな、二次会に来る友人一同は新婦の友人の中で良い娘がいないか様子見するだろ? うまく行けば連絡先くらいはゲットできるぜ?」



 そう言う同僚に青柳清太は、「ああぁ」 とか言って上を向く。



「そっか、そう言えば友達で彼女がいないのも結構いたもんなぁ」


「だろ? 俺たちはもう結婚して幸せな家庭を築くが、まだ彼女もいないやつだっているだろう? だから幸せになるチャンスを与えなきゃだめだろうに。それに嫁さんも早く連れて家に帰りたいだろ?」



 まだ結婚して一年も経っていない同僚はそう言って飲み終わった空き缶をくず入れに放り投げる。

 青柳清太も缶を捨てて立ち上がる。



「じゃあ雫ともう一回会場選びの条件を話し合わなきゃだなぁ」


「おう、頑張れや。さ、仕事仕事っと」




 そう言って二人はまた仕事に戻るのであった。


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