マイクロプラスチック?ナニソレオイシイノ?いいえ、あなたの最も身近にある中毒性のある猛毒です

アルターステラ

食べても死なないけど、食べると良くない、どんな影響?

マイクロプラスチックとは、プラスチックが目に見えないくらい小さく細かくなったものです


別に食べても死なないなら気にする必要ないんじゃない?


そう思ったことがあるかもしれません

たしかに、マイクロプラスチックを食べて死んだというニュースや論文は今の所見たことがありません


ではどうして、環境汚染や環境問題と騒がれているのでしょうか?


問題意識を持っていたただくために、1つの仮定をお話ししましょう


マイクロプラスチックを全く取り込んでいないクリーンな生物Aがいたとします

そして、マイクロプラスチックを体重の0.001%取り込んだ汚染された生物Bもいたとしましょう

この2つの生物は、種類も生まれた日も同じと仮定します

そうすると、基本的には2匹は同じように食事をして、同じように成長していくことでしょう

仮に2匹が全く同じ量、全く同じ種類の食べ物を同じタイミングで食べる状態で数年間の経過観察をした場合、はたして2匹は同じような成長をとげるでしょうか?


生まれてから数年がたったある日の2匹を比べてみましょう

生物Aの方が成長状態が良いようです

これはどうしてでしょうか?


私の仮説では、体内に取り込んだマイクロプラスチックは体重の0.001%に相当するものとしていました

そして、2匹の生物は毎日同じ量、同じ質の食事が与えられました

その他の条件も極力同じくして経過観察をするという実験的な仮定です


生物は一日に摂取するエネルギーを使って動いたり考えたりして成長していきます

筋肉を作ったり、脳を働かせたりはもちろん、心臓を動かして血液を循環させたり、肺を動かして呼吸をしたり、新しい細胞を生産したりすることにも、食事から得られたエネルギーを消費します

そのエネルギーのうち、仮に体を動かすことに使用するものを20%とした場合、生物Aは20%のエネルギーを全て体を動かすことに使えます

しかし、生物Bは体を動かすには、体内に取り込んだ体重の0.001%のマイクロプラスチックも一緒に動かす必要があり、同じエネルギーでは19.9998%しか体を動かすことができません

この残り0.0002%はマイクロプラスチックを動かしたエネルギーです

ここで、生物Bは0.0002%をどのように補完するでしょうか?

体を動かすことが、食事や睡眠やその他の生命維持に必要な最低限の運動量だった場合、残り0.0002%の体を動かすエネルギーを他のことに使う予定のエネルギーから補わなければなりません

そうしないと死んでしまいます

生物Aは残り80%のエネルギーで考えたり、臓器を働かせたりできますが、生物Bは79.9998%のエネルギーで考えたり、臓器を働かせたりします

この一日が積み重なると、生物Aと生物Bは全く成長状態の異なる個体になります

時間をかければかけるほど、見るからに生物Aの方が成長状態がいいと判断できるようになるでしょう


この仮定は、マイクロプラスチックの重さと、生物が生きるために必要なエネルギーの消費に関することを皆さんに考えていただくための仮定であり、実際には同じ生物などこの世に存在しないので、あくまでも仮定の話です


しかし、マイクロプラスチックのこの様な影響が蔓延すれば、生物Bはあなたの身近なところになることが世界中の多くの研究者の研究や考察で明らかになっています

また、生物Aと生物Bを仮に食さなければならなくなった場合、あなたはどちらを食しますか?

生物Aは成長状態がいい、生物Bは成長状態が悪い、見た目で良い方を選べば良いと思うかもしれません

しかし、加工されていてはどちらがマイクロプラスチック入りかなんて見分けがつきません

どちらも混ざっていることの方が多いでしょう

知らないうちにあなたも生物B側に仲間入りです

マイクロプラスチック汚染とはこうして広がっていくのです


マイクロプラスチック汚染は子供や孫、現にあなた自身に起きている可能性が捨てきれないということになります

マイクロプラスチックは体内に入ると分解されずに残ってしまうので、生物Bのように異物をずっと持ち抱えたまま生活することになります


もっと恐ろしいことに、マイクロプラスチックの形状が、もし運悪く尖っていた場合、そのマイクロプラスチックは体内で揺れる度に、周りの組織を傷つけたり破壊します

傷ついた組織は腫瘍となったり、悪性腫瘍、つまりはガンに変化する可能性もあるため、マイクロプラスチックが直接私たちを死に至らしめることはありませんが、間接的にじわじわと弱らせることはできるのです


海がマイクロプラスチックに汚染されると、この様なリスクが海洋生物の大半や、私たち人類全般に波及することになります

飼育されている家畜に関しても例外ではなく、魚を細かく砕いた魚粉は家畜たちの主要なミネラル源でよく与えられています

当然マイクロプラスチックと一緒に飲み込んでしまうでしょう


植物がマイクロプラスチックを取り込むかどうかというと、2020年に植物にもマイクロプラスチックが取り込まれてしまい生育への悪影響がでるという研究報告があるようです

その研究報告が間違いなければ、人類はマイクロプラスチックから逃げおおせることは不可能だということになります


プラスチックを生産しなくなれば、いずれ数百年後には現在までのプラスチックが分解されきって、その影響から脱することができます

あるいは、全てのプラスチックを分解できる化学薬品が開発されれば、数百年の自然分解を待たなくてもよくなるかもしれません

そのプラスチック分解薬品が別の環境問題を誘発しないとは限りませんが


いずれにしても、プラスチックを使わない、あるいは完全に分解処理をする生活を選ばない限り、汚染の脅威はおさまらないということです


身の回りを見てみると、手に取るものはほとんどプラスチックで、たまに金属か木質のものです

家電製品もプラスチック外装(ABS樹脂やポリカーボネートなど)が主要であり、住宅を建てたり部品を組み立てる時に使われる接着剤(アクリルやウレタン、エポキシなど)もプラスチックです

衣服もポリエステル、ポリウレタンとプラスチックであり、食品容器もほとんどの場合発泡スチロールや透明か色つきのプラスチックの容器でしょう

見えている人も、見えていない人も、基本的には全員がプラスチックに囲まれているという訳です

恩恵を得られるのは今生きている人だけで、後世の人達からすれば、先代の人類の横暴によって苦しまされるだけになるということになります

後世の人が生き残っていればの話ですが


個々人がプラスチックにもっと敏感になり、プラスチックを多用するものを買わないように、多くの人がプラスチックを遠ざけることで、企業は採算を気にするので新たに生産されるプラスチックの量を確実に減らすことができます

そして、その減らした分の容器や包装は別の物で代替が進んでくれます

江戸時代には和紙や紙、木質の箱、金属の鍋を持参して買い物をしていたようです

これからのことを考えると、そのやり方か最も持続可能で将来への悪影響が少ない方法です


便利や安価は健康には変えられないものです

人が健やかな暮らしを続けるために、悪影響となるプラスチックの使用を多くの人が遠避けてくれることを願います

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