カタオモイ……

さて、この秘めた想いを、2年間……いいえ、もっとずっと、抱いてきました。

この文章を先生に見つけられたら、どうしましょう。

今になって、少し怖くなってきました。

後悔してももう遅いですね。

それなら全て、語ってしまいましょう。


結局、私と先生がどうなったか。


色々と紆余曲折うよきょくせつありました。

私は先生と釣り合わないと、頭で理解はしていました。

私と先生は相性がとても合っていて……合っていなかったのです。

矛盾じゃありません。

これは、しっかりと筋が通ったお話です。

私はメンヘラです。これは自他ともに認められています。

メッセージの返信はすぐしてくれるほうが嬉しいし、ちょっとでも冷たい態度を取られると病んでしまうし、自分の首を絞めるなどお手の物です。

リスカやオーバードーズはできません。

だから、半端者なのです。

どこへ行っても半端者。

メンヘラはメンヘラでも、そこまでメンヘラじゃない……。

そう、半端者なのです。

だから、独りぼっちなのです。どこへ行っても。

愛に飢えているのです。ずっと、ずっと。

一人で自分を励まし、立ち直らせ、傷つけ、また励まし……そんな猿芝居をしている、滑稽な人間なのです。

でも、それは先生もきっと同じだったのです。

はじめて仲間を見つけたような感覚です。

でもそんな仲間など今までいなかったものですから、家族同然に愛おしく思えたのでしょう。

今となってはもう、わかりません。

ですが、あれは恋では無かった……それは確かです。

あえて名前をつけるとしたら、「家族愛」でした。


ええ、ええ。どうぞ、嘲笑ってくださいな。

愚かな私を、嘲笑ってください。

家族でも何でも無い他人ひとに、「家族愛」を抱く、そんな狂人なのです、私は。

そうして皆離れていくのです。


唯一の心の支えであった、先生でさえも。


それでもなお、死ぬことすら出来ません。

愚かな人間です。

「人間失格」ご存知ですか。有名ですよね。太宰治先生。

私、あれを読んで共感したんです。

感動して、涙を流したんです。

だから私もきっと、「人間失格」なのでしょう。


私の仲間は、どこでしょう?

私を抱きしめてくれる人は、どこでしょう?

何があっても、変わらぬ愛を誓ってくれる人は、どこにいるのでしょう?








……ねぇ、どこにいるの?

愛しい仲間よ。



今日も貴方を探しに、夜道を徘徊するわ。



愚かでしょう?

私は、自分が死んだことも知らずに、仲間を探す女なの。

先生とともに死んだことも知らずに。

嗤いながら死んだことも忘れて、今日も仲間を探すのよ……

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