第17話 パーティでの初戦闘
樹木に擬態していたケレナージュがかん高い絶叫を上げて炎上する。
生木だから燃えにくいかとも思ったが、そんなことはないらしい。
「キョオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」
「ダライアスッ! 攻撃だッ!」
「おう!」
そう言うと、ダライアスはケレナージュと思しき一体に牙の刃ヴァルファングを叩きつけるように斬りつける。
「キョオオオオオオオオオ」
斬りつけられたそれは、やはり悲鳴ともつかない声のようなものを上げ始めた。
木の洞だと思っていたものが目や口のように見えてくる。
「斬れるぞッ!」
そう叫ぶと続けざまに一本、もとい一体のケレナージュに斬撃を喰らわせる。
「アシリアッ! 魔法で援護!」
【
ダライアスの体を黄緑色の光が包みこむ。対象の防御力を上昇させる付与魔法である。続けてアシリアは【
魔力に補正がかかったところで、再びレヴィンの魔法が炸裂する。
【
その直撃を受けて、ケレナージュの一体が成す術もなく炎上した。
他の数体を同じく【
まともに喰らうダライアス。
【治癒(ヒール)】
すかさずシーンの回復魔法が飛ぶ。
「ダライアスッ! 状態はどうだッ?」
「分からないが、今は問題ない!」
「シーン。念のため【解毒(キュアポイズン)】も頼む!」
すぐに解毒魔法がダライアスを包み込む。
【
一体がダライアスへと枝を伸ばすのを見たレヴィンは十分な距離を置いて違う魔法を放つ。すると、スパッと根本付近で一刀両断され、木材と切株のような状態に分かれた。その個体はそれで動かなくなった。もしかしたら根っこから大地の力を吸い上げて動いているのかも知れない。ダライアスはようやく根本を斬り倒し、一体を仕留める。ケレナージュは剣による攻撃よりも魔法攻撃の方が相性は良いようだ。
【
アシリアが魔法を放つ。肉体と精神の両方に衝撃を与える魔法だ。魔法を喰らった個体は例の叫び声のようなものを上げる。効いているようだが、一撃必殺とはならない。レヴィンの魔法ならさっさと敵を殲滅できそうであるが、彼は仲間の成長に重点を置くつもりだったのでできるだけ魔法は控え、状況の把握に努めていた。
ダライアスは攻撃のコツがつかめてきたようで、一体を倒す速度が上がっている。
アシリアは【
手分けして魔核の回収にかかる。シーンはケレナージュの枝や拾える程度の材木を集めていた。素材になるかも知れないからだ。結局、魔核を数えると十六個あった。最後に切株になっている個体も含めて火魔法で燃やし尽くすことにした。切株などから芽吹いてきて魔物として復活するとも限らないからだ。気づくとダライアスがボーっと突っ立っている。何故だか分からなかったので、聞いてみると、どうやらレベルが上がったことを神の祝福によって実感し、感動していたようだ。アシリアとシーンは平然としている。どうやらレベルや職業レベルが上がった経験があったので驚きはなかったようである。
「んじゃ、森に入って魔物や獣を倒していくか」
レヴィンはそう言うと、ダライアスを先頭にして歩き始めた。それからスパッツァ二体と
また、獣はワイルドボアを二匹狩った。獣は血抜きして皮を剥ぎ、肉を切り分ける。解体は前世で祖父に教わったことがあったので、素人に毛が生えた程度の腕だったが何とかなった。レヴィンは作業をしながら、獣使いの能力である【獣を操る】を習得することも視野に入れようかと考えていた。これがあれば、ダライアスのために効率良く獣を狩ることができるだろう。
こうしてパーティでの初めての戦いは被害もなく無事に幕を降ろした。
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