第6話 レヴィン、無職になる
「荷馬車後方の森の方から敵来襲ッ!」
その第一声は、森側の最後尾を見張っていた、騎士、テオドールのものであった。その声に全員が森の方に目を向ける。この辺りの街道はもう、すぐ側まで森が迫ってきている場所である。敵はどうやら
「クロスボウを持ってるぞッ! 散開しろッ!」
再びテオドールの指示が飛ぶ。同時にテオドールのパーティ《明けの明星》のメンバーが軍勢の方に向って行く。
「撃たせるものかよッ!」
レヴィンがそう吠えると魔法陣を展開する。
【
荒れ狂う風が先頭でクロスボウを構えていた
「敵だッ! こっちは俺たちに任せろッ!」
挟み撃ちを読んでいたのか、未だ位置を移動していなかったイザークが吠える。彼の方に目をやると、五体の
【
レヴィンとカールの声が重なる。
その風の刃を手にしている武器で防ごうとする
しかし、
やはり、暗黒魔法レベル3で習得できる魔法だけあって強い。風の刃強い。
テオドールは
【
その巨体の鬼は、体が一瞬ぐらりと揺らぐが踏みとどまる。倒しきれずに思わず舌打ちをしてしまうレヴィン。近接戦闘中のイザークたちに魔法を放てば、巻き込んでしまう可能性がある。レヴィンは援護するのを
【
狙い定めた巨躯の鬼は持っていた武器で風の刃を薙ぎ払おうとする。魔法が先程の鬼のように武器ごと両断するだろうと予想し、レヴィンは勝利を確信する。しかし予想に反して風の刃の方が吹き散らされてしまった。
「何ッ!?」
「レヴィンッ! そいつは
他の
【
その
「こいつ硬過ぎんだろッ!」
しかし、もう一体の
「クソッ! どうするッ!?」
レヴィンがそうボヤいた瞬間である。
レヴィンの目の前にヘルプ君が突如として姿を現したのだ。
『じゃじゃじゃじゃーん! ヘルプ君だよッ!』
「呼んでねーよッ! 今、戦闘中なんだから出てくんなッ!」
『おめでとう!
「ああッ!? おせーよッ? 今更かよッ!?」
『これで
「ちょっと黙ってろ、こんのイルカ野郎ッ!」
流石のヘルプ君も容姿のことに言及されると辛いのか、ようやく黙り込む。そこには哀愁漂うイルカの格好をしたヘルプ君の姿があった。レヴィンはすぐさま
「最強の
レヴィンは一瞬で
「話が違うッ!
非難の声を上げるレヴィンにヘルプ君は冷酷に厳然たる事実を言い放った。
『他の職業を極めていけば最強です』
「マジかよッ!?」
『ちなみに地球のゲーム○○○を参考にしました』
「古いなオイッ!?」
傍から見れば独り言でツッコミを入れながら戦うレヴィンは、ただのやべー奴である。しかしレヴィンは、ここでわずかな光明を見出した。弾き飛ばされたお陰で他の仲間との間合いが空いたのだ。すぐにレヴィンは
【
レヴィンの『
流石の
「避けろッ!」
【
レヴィンとイザークと声が重なった。着弾した爆裂の炎が撒き散らされ、その舌を
レヴィンは、
「何笑ってンだよ。気持ち悪い」
「いえ、思いがけず良いものが手に入ったので……」
「ああ……。それにしてもお前さん、やっぱり腕がたつな。良い
「本当ですか!? ありがとうございます」
「今
「今年で十五歳です。早く世界を回ってみたいのは山々なんですが、まだ学生なので本格的な
「んあ!? 若いな。まだまだ伸び代は十分じゃねーか。俺たちの目的は……そうだな。強くなって色んなお宝をゲットするってぇとこか?」
レヴィンは、イザークの少し歯切れの悪い回答におや?と思うが何か事情があるのだろうと考え、深く突っ込まないでおいた。魔物の処理が終わると一行は旅を再開した。そして案の定、道中ではレヴィンが独りツッコミを入れながら戦っていたことをイジり倒されたのであった。レヴィンは羞恥のあまり顔を真っ赤に染めながら心に誓った。
そして
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