24話

雪と遊園地に行った数日後、私達はいつも通り屋上でお昼ご飯を食べていた。


そんな時に朝日がふと言ったことで、私と四人の内の一人の、一週間が大変なことになる。




「そういえば…もうすぐテストが始まるんだねぇ…。部活も休みになっちゃうし、やだなぁ…」


言われてみればたしかにもうそんな時期だった。


私は日頃から備えていたし、夏海にドキドキさせながらも、授業はちゃんと聞いていたので問題はなかった。


みんなはどうなんだろうと、思い質問してみる。


「みんなはテスト勉強はしてるの?」


まずは朝日が答える。


「私はいつも通り中間くらいの順位が取れればいいし、部活が休みの間も自主トレしたいから、少しだけかなぁ。」


たしかに朝日は部活ばっかりやってるイメージだけど、実は勉強もまぁまぁ出来る。


次に雪が答えた。


「わ、私は教科書を見るのも好きなのでしてます…!」


雪は本を読むのが好きだけど、教科書も対象だったんだ…と少し驚いた。


今度は楓さんが答えた。


「わたくしはもちろんしてるわよ!生徒会長たる者一位を取らなくてはね!」


楓さんは常に学年一位を取っている。生徒会で忙しいのにほんとにすごい。


次は夏海が答えるかなと待っていたけど、うつむいて何も言わない。


「夏海…?」


私はどうしたんだろうと声をかける。


すると、夏海が急に声を上げて言った。


「ど、ど、ど、どうしよぉぉぉぉぉ!テストのこと完全に忘れてたよぉぉぉぉ!」


かなり焦っている様子の夏海に一応聞いてみる。


「な、夏海…転校してくる前の学校では…どれくらいだったの…?」


夏海はまたうつむきポツリと言う。


「いつも赤点ギリギリ…」


あ、これまずいやつだ…。


うちの高校はそこまで偏差値が高い方じゃないけど、テストに関してはなかなか厳しい。


赤点を取ったら夏休み全て返上で、補習を受けることになる…。


このままでは高校二年の夏休みが悲しいことになってしまう。


自業自得といえばそこまでだけど、さすがにかわいそうなので夏海に伝える。


「な、夏海…今からがんばろ!私が教えるからね!」


「か、かずっち!ありがとぉぉぉぉ!」


泣きながら抱きついてくる夏海に照れながら思った。


テストまで残り一週間…。


なんとか赤点だけは取らせないようにしないと…。


こうして、夏海にとにかく赤点だけは避けさせる為の勉強が始まる。


ちなみに、他の三人も教えると言っていたけど、朝日は自主トレがあるし、楓さんは一位を取るための勉強に専念してほしいし、雪はまだ一年生ということもあったけど、電車通学で家が遠い為お母さんが心配するといけないので、やめてもらった。

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